OZworldの圧倒的世界観 体感型のワンマン・ライブで目撃したもの
OZworldが11月4日に東京・Zepp Hanedaで開催した「OZworld Zepp ONEMAN LIVE 2024 “UTAGE”」。12月8日に大阪公演(Zepp Osaka Bayside)を残しているが、自身最大規模となったZeppツアーの東京公演の模様を、音楽ライターの渡辺志保がお届けする。 【写真】「OZworld Zepp ONEMAN LIVE 2024 “UTAGE”」東京公演(全8枚) 自身最大規模となるZeppツアー。ステージ上の大きなスクリーンにカウントダウンを告げる数字が現れ、沖縄の伝統音楽を掛け合わせたビートと近未来的なアニメーションの映像が流れる。我々のために、OZworldが新たな世界――すなわち、彼が作り上げた仮想世界であるNiLLAND――への扉を開けてくれたような演出だ。オープニングを経て幻想的な雰囲気の中、神々しくステージの上部に現れたOZworldがまず最初に歌うのは「Hey Siri, ヒフミヨイ」。続いて真っ赤なライトとともに「Compflex」へと繋げていく。観客の手が一斉に上がり、「Are You Readay? ZEPP UTAGE!」とシャウトしながらさらに序盤を盛り上げていくOZworld。「乗ってくれよ、この船に」と呼びかけながら「Magarikado Trap」、「She Iz」と初期の楽曲を続けた後に、「ここから一人一人が主人公です。俺にその輝きを見せてくれ」と呼びかけ、Tokyo Young Vision、KUJAとのコラボ楽曲「TOKIOKI」ヘ。ここでこの夜、初めてのゲストらが一斉にステージへと登場し、宴(うたげ)の熱気が一段階上がっていく。そのままKUJAとともに「KARASU Remix」をラップし、「畳 -Tatami-」へと繋げる頃にはオーディエンスからのレスポンスも一段とボリュームが上がり、「Betty Boop」では「3、2、1」の掛け声で全員が一気にジャンプする場面も。 アカペラのラップを挟んでからスタートした「GOD BLESS MAGIC REMIX」では、燃える炎の映像をバックに途中からRed Eyeが加わり、一緒にリミックス・バージョンを披露。ゲストらの登場が続き、観客席も十分に、いや、それ以上に温まってきたころに「Gear 5」へ。世界を代表するヒューマンビートボクサーのSO-SOが加わった「Gear 5 SO-SO REMIX」を披露し、SO-SOの渾身のビートボックスが起爆剤かのように会場は一体感を増していく。そして、ステージ上の世界観が拡張していくかのようにそのまま「Gear 5 ZEPP SP.REMIX」と題したスペシャル版へと展開。ACE COOLとMIYACHIの2名がステージに現れ、 SO-SOのビートボックスと呼応しながら、それぞれの持ち味を活かしたマイクパスを広げていく。その後、OZworldはステージから一度去るも、幕間のスクリーンには、Hayabusa_Digitalize(隼)による3DCGの映像が流れ、沖縄の天描画家である大城清太氏が描いた「円祇寵・エンキル」を元に作り出された映像が大きく映し出される。 レイヴのような高揚感と幻想的な雰囲気を演出した後、再度、新曲「UTAGE3.0」と共に登場したOZworld。彼が出現したのは、なんと客席のフロア中心に組まれた小さなステージの上。四方をオーディエンスに囲まれながらパフォーマンスする様子は、まるで盆踊りの祭場に建てられた櫓(やぐら)の上に立つ首長のよう。櫓の上に立ったまま、さらなる新曲「弥栄LIT」ヘ。コール&レスポンスも極上の盛り上がりで、OZworldが主宰する宴は止まることを知らない。熱気をコントロールするかのように、海底を思わせるチルな雰囲気の映像&照明と共に、ステージ上にはPETZが登場して「GO」を歌う。その後、「自分が10代の時に書いた曲」と前置きし、自身のスピリチュアルな体験や極限の状態で感じたことを語りつつ「今も苦しい思いをしている人がいるのかもしれない。自分ができることって何なんだろう」とその時の思いを共有しながら、沖縄の最北端に位置する奥集落に強くインスパイアされたという「OKU」へ。OZworldならではの神秘的なオーラが会場を包む。「地球Final」、「龍 -RAW-」を続けて歌い、より深くOZworldのスピリットに触れることができるかのような高揚感をもたらした。「これがワンマンってやつか」とMCを再開し、改めて自己紹介を挟みながらルーツである沖縄への想いを語る。「(自分が)沖縄に帰れないから、沖縄に来てもらった」と呼び込んでステージに加わったのは、沖縄の伝統を独自の形で継承する唄者のKUNIKO。彼女の三線と歌声に招かれるようにしてRITTOが加わる。穏やかな熱気を帯びながら「Shonganee」へ。次いで「あさがたのミートパスタ教」、「Peter Son」と再び1stアルバムからの代表曲を続けて披露していく。