アマチュアのドライバー選び、飛ばしたいならもっとも気にすべきデータは“打ち出し角”だった!【飛ぶクラブ選びの新基準・前編】
飛ぶドライバーとはどういうものか? 試打のスペシャリスト堀越良和プロに聞くと、アマチュアにこそ知ってほしい「ドライバー選びの分岐点」があるという。2024年6月11日号の「週刊ゴルフダイジェスト」で特集された飛ぶクラブの新基準を、2回に分けて「みんゴル」読者にもお届けしよう。【前編】
●解説&試打 堀越良和プロ 試打企画でおなじみの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト。TPIレベル3を習得している。週刊ゴルフダイジェストで「ギア選びのウソホント」を連載中。
ボール初速、打ち出し角、スピン量を「飛びの三要素」というけれど……
ドライバーの飛距離はアマチュアが最も興味を抱くテーマのひとつ。そこで今回、「飛ぶドライバーとは、どういうものなのか? 」を週刊ゴルフダイジェストで30年以上、試打企画を担当してきたキング・オブ・試打、堀越良和プロに聞いてみた。 「米ツアーは飛距離300ヤードの時代で、コースセッティング(長さも含め)も非常にタフです。当然、飛距離が重要であることは間違いないのですが、今のトップ選手たちを見ると、たとえば、LIVで活躍するダスティン・ジョンソンはロフト10.5度をネック調整で12度にしています。全米プロで優勝したザンダー・シャウフェレ、マスターズを制したジョン・ラーム、メジャーに強いブルックス・ケプカは、ロフト10.5度を使用しています」 「実はロフトが寝たドライバーを使っているプロは意外に多いのです。ヘッドの性能で考えれば、ロフトが寝るほど、ボール初速は落ちますし、スピン量は増えます。それなのにロフトが多めのモデルを使うのは、それだけ打ち出し角が重要ということです。これが飛ぶドライバー選びの大きなヒントになります」 たしかにプロや上級者はロフト少なめの8度や9度、一方、アマチュアはロフト多めの10度、11度を使う、というイメージは強い。だが、ギアの進化によってその常識が変わってきたのか? 「ギアの進化もそうですが、弾道解析による影響のほうが大きいです。弾道データが可視化されたことで飛ぶ弾道がわかってきたのです。そこから生まれたのが『飛びの三要素』です。ボール初速、打ち出し角、スピン量。この3つが飛距離の増減に大きく影響します。ですので、クラブ開発だけでなく、ドライバー選びにおいても注目されるデータとなりました」 「ボール初速が速い、つまりヘッドスピード(HS)が速い人は、打ち出し角とスピン量の兼ね合いで飛距離が変わるため、飛びの三要素が大きく関わるのですが、ボール初速が遅い場合、この定説が崩れてしまうんです。私の分析では、その分岐点は、平均ボール初速60m/sになります」 堀越プロはそういうが、「ボール初速」だとなかなかイメージしづらいだろう。そこでHS40m/sで考えてみよう。アマチュアのミート率は1.3~1.4と言われるが、仮にミート率が1.3ならボール初速は52m/sになり、ミート率1.4だとボール初速56m/sとなる。ミート率の上限1.5(真芯)でやっとボール初速60m/sになるのだ。つまりHS40m/s前後であれば確実にボール初速は60m/s未満になるだろう。 「ボール初速60m/s未満になるとスピン量の影響が極端に減り、打ち出し角によって飛距離が大きく変わることがわかったんです」 === 後編では、HS40m/s未満のアマチュアに試打してもらい、そのデータを比較検討!