王鵬、大関琴桜を撃破 我慢強く押し出し、地力証明「よく動けた」 大相撲九州場所3日目
大相撲九州場所3日目は12日、福岡国際センターで行われ、新大関大の里は小結正代を一方的に押し出し、3連勝とした。琴桜は先場所で敗れた王鵬に押し出され、初黒星を喫した。王鵬は初白星。 その目は最初から最後まで相手の動きをとらえていた。王鵬は琴桜の胸元に頭から当たると、16秒を超える攻防の間、辛抱強く押すことに徹し、大関を押し出した。途中、もろ差しを許しかける危ない場面があったが、前に出ながら振りほどくことに成功。地力が付いてきていることを示す相撲内容だった。 「しっかり我慢できたので良かったのでは。よく動けたと思います」 言葉の端に充実感がにじむ。これで、琴桜戦は2連勝である。 秋場所で骨折した右目の眼窩は、もう心配なさそうだ。先月10日、骨に吸収される材質のプレートを入れる再建手術を受けた。見え方などは全く問題がないという。 部位が部位であるだけに、気になるのは精神面への影響だが、現役時代に左眼窩内側壁を骨折した武隈親方(元大関豪栄道)が「稽古ができていれば恐怖感はなくなっていると思う」と指摘したように、王鵬も場所前に段階を踏んで心身をきちんと仕上げてきた。 術後すぐに基礎運動などで体を動かし始め、福岡入りしてから相撲を取る稽古を再開。琴桜のいる佐渡ケ嶽部屋にも出稽古し、〝実戦〟に体と感覚を慣らして九州の土俵に臨んでいる。 番付は自己最高位の東前頭筆頭、三役は目前だ。「しっかり我慢して勝たないといけないんで、今場所は特に」。ひるむつもりは毛頭ない。(宝田将志)