エヌビディアに続くAI勝ち組を探せ-ウォール街が新興国に照準
(ブルームバーグ): 世界有数の資産運用会社が、人工知能(AI)の次の勝ち組を米国外に探そうとしている。
AIに対する世界的な熱狂を背景に米半導体大手エヌビディアの株価は1年足らずで3倍になり、半導体企業を対象とする米国の主要指数であるフィラデルフィア半導体株指数は50%上昇。そうした中、投資家はより良いバリューとより多くの選択肢を求めて新興国市場に注目している。
米ゴールドマン・サックス・グループの資産運用部門は、特に冷却システムや電源といったAIサプライチェーンの構成要素を製造する企業への投資を模索していると説明。JPモルガン・アセット・マネジメントは、従来の電子機器メーカーの中でAIのリーダーへと変貌しつつある企業を選好。またモルガン・スタンレーでは、非テクノロジー分野の事業モデルをAIで再構築している企業に賭けている。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの副最高投資責任者(CIO)、ジタニア・カンダリ氏は「われわれはAIを新興国市場における成長の推進力と捉えている」と説明。「従来は半導体企業のようなAIの恩恵を直接受ける企業に投資してきたが、今後は収益強化に向けてAIを導入しているさまざまな異なる業界の企業に注目することが重要だ」と述べた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、AI関連銘柄は今年既に、新興国市場株の1兆9000億ドル(約288兆円)規模の反発をけん引。上昇全体の9割を、台湾積体電路製造(TSMC)やSKハイニックスといった台湾と韓国の半導体メーカーが占めている。
そうした上昇でもなお、新興国市場のAI銘柄の大半は、米国の同業他社よりもはるかに良いバリューを提供している。エヌビディアの予想株価収益率(PER)が35倍となっている一方、アジアの主要AI関連企業の予想PERは通常12-19倍だ。
また新興国市場は成長ペースもより速い。ブルームバーグのデータによるとアナリストらは、新興国市場のテクノロジー企業の利益が全体として61%増加すると予想。一方で、米国のテクノロジー企業の利益については20%増を見込んでいる。