香取慎吾、主演映画「凪待ち」で落ちぶれた男に 白石和彌監督と初タッグ
元SMAPの香取慎吾が映画「凪待ち(なぎまち)」(2019年公開)で、白石和彌監督と初タッグを組むことがわかった。白石監督は「孤狼の血」(2018)「彼女がその名を知らない鳥たち」(17)などで知られ、日本映画界で最も勢いのある監督といわれる。一方の香取も、エンターテイメントから人間ドラマまで幅広い役柄をこなし、最近ではアート方面でも才能を発揮し話題を呼んでいる。俳優として、新たな代表作にできるかどうか。
人生につまづき落ちぶれた男を演じる スター感ない“誰も見たことない香取慎吾”
同作は「喪失と再生」を描き、魂を震わす人間ドラマとなる。香取が演じるのは、パートナーの女性とその娘とともに彼女の故郷、宮城県は石巻市で再出発しようとする男。平穏に見えた暮らしだが小さなほころびが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう。人生につまづき落ちぶれた男の再生の物語で、“誰も見たことない香取慎吾”を見ることができるというから期待したい。
香取を迎えての映画を待望していたという白石監督は、「香取さんのスター感を若干消しながらも、人の生きる強さや優しさといったものに香取さんとならば触れられると思いました。そこを一緒に探していけたらと思っています」とコメント。香取も「白石監督とお仕事できてとてもうれしいです。今までぼくが演技したことのないような役と世界観で、この映画のこのストーリーの中に入れることがとても楽しみです。石巻の空気がこの映画の中に溢れおさまったら嬉しいです」と話している。 脚本は、「クライマーズ・ハイ」「ふしぎな岬の物語」の加藤正人氏。白石監督と組むのは「火花」(Netflix)以来だ。撮影はすでに先月から始まっているという。
香取慎吾の俳優としての経歴と実力
香取は1995年に野島伸司氏が脚本を手がけたドラマ「未成年」(TBS系)で知的障害者のデク役を演じ、第7回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演男優賞を受賞。また、猟奇殺人犯を演じた「沙粧妙子-最後の事件-」では、第33回ギャラクシー賞の奨励賞を受賞している。翌96年には「透明人間」で連続ドラマに初主演。同年10月にはドラマ「ドク」で第11回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演男優賞を受賞と、俳優業は滑り出しから順調だった。SMAPということで作品に恵まれたからというよりも、逆に人気グループメンバーの芝居はどんなものか世間の注目が集まるなかで、プレッシャーに負けることなく、着実に成長していったことが大きいだろう。器用ではないものの、一つ一つの作品で存在感を発揮してきた。 2009年の秋には、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで三谷幸喜氏が脚本を手がけたミュージカル「TALK LIKE SINGING」に出演。日本のオリジナルミュージカルが初演をニューヨークで行うのは日本の演劇界では初のことで注目を集め、香取は話そうとするとすべて節つきの歌になってしまうという青年Tarlow(太郎)を好演した。また、2015年には長年の夢であった草なぎ剛との二人芝居も実現している(三谷幸喜演出「Burst!」)。 そして、今年4月に公開された、稲垣吾郎、草なぎとともに出演したオムニバス映画「クソ野郎と美しき世界」は、全国わずか86館、2週間限定にも関わらず、累計観客動員数28万人を突破し、話題となった。すでにシリーズ第2弾の製作も決定している。 (文:志和浩司) 映画「凪待ち」(2019年公開) 製作:キノシタ・マネージメント/配給:キノフィルムズ/宣伝:モボ・モガ (C)2018「凪待ち」FILM PARTNERS