岸田の言うことは聞かなくていい…リニア問題スピード解決を迫られる鈴木知事の「最大の心配ごと」
官邸に踊らされずに、スピード解決に向かうべし
これまで県専門部会で、藤島残土置き場の議論は行われていない。 盛り土条例の適用除外の要件を満たしていないから当然、いまのままでは認められない。 となると、県専門部会でいくら議論しても、結論は出てこないだろう。JR東海が藤島残土置き場の安全性をどんなに主張しても、条例という壁を突き崩すことはなかなか難しい。条例の改正で適用除外の要件緩和などで対応しなければならない。 ところが、川勝氏が退場したあと、4月24日、26日、5月21日の3回、藤島残土置き場について協議したことが、JR東海作成、静岡県の確認した資料の中で明らかになった。 まず、4月24日に要対策土の盛り土に関する確認書の記載方法や添付書類について県が説明、26日にはJR東海が提示した確認書案について、県が内容を確認することになった。 5月21日の打ち合わせで、県から「添付資料中の盛り土の永久管理に関する不明な点を説明するよう話があった」とある。 つまり、これまで適用除外の要件を満たさなかった藤島残土置き場について、適用除外を踏まえて、県がJR東海を指導していることが明らかになった。 県担当課は、個別事案について説明できないとしているが、JR東海の求めに対応している。これまでの「藤島残土置き場計画を認められない」と門前払いしていた状況とは大きく違うようだ。 モニタリング会議後の囲み取材で、森副知事は「現在の計画を認めるわけではない」としたが、それなのに、適用除外の要件を指導することはおかしくなってしまう。 いずれも知事不在中の事務方協議であり、鈴木知事がどのような説明を受け たのか全くわからない。 岸田首相が「2037年の全線開業の目標」を掲げたからと言って、静岡県がそれに合わせてリニア問題をすぐに解決する必要性はない。官邸の方針に踊らされることはない。 「内憂外患」とも言える状況の中で、鈴木知事は事務方の説明に嘘がないかをちゃんと見極めて、リニア問題解決にスピード感を持って当たるべきだろう。
小林 一哉