定年後「子どもの扶養」に入ると、税金はどれだけ安くなる? 年金を「月7万円」受け取る場合、扶養内のパート収入はいくらまでにすべきかも試算
定年退職後も、生活費の足しにするためにパートなどで働きたいと思っている方々がいるかもしれません。では、年金をもらいながら子どもの扶養に入れる年収の目安はいくらなのでしょうか? 扶養には「所得税での扶養」と「社会保険での扶養」の2種類があり、今回は所得税での扶養についてシミュレーションします。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
年金をもらいながら働いている人はどのくらいいる?
厚生労働省「2022年国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者の収入のうち総所得に占める公的年金などの割合が100%の世帯は44.0%でした。また、1世帯当たり平均所得金額の構成割合は公的年金などが62.8%、働いて得た所得が25.2%となりました。 高齢者の1世帯当たり平均所得金額は318万3000円で、このうち公的年金199万9000円・働いて得た所得80万3000円でした。この調査結果から見ると、年金をもらいながら働き、毎月約6万円程度の収入を得ている人が約25%いることになります。
子どもの扶養に入れる条件は?
所得税において扶養家族となれる条件は「配偶者以外の親族(親・子)であること」と「扶養をしている人と生計をひとつにしていること」です。親子の住居が離れていても、仕送りなどで生計を維持していれば条件を満たします。
子どもの扶養に入れる所得は、年間いくらまで?
扶養家族になれる年間所得は、年金所得(雑所得)と、パートなどの給与所得の合計が48万円以下です。合計所得48万円以下とは、年金収入とパートなどの給与年収の合計から「公的年金控除」と「給与所得控除」を差し引いた金額です(控除とは「あらかじめ差し引く金額」です)。 公的年金控除は64歳までと65歳以上によって控除できる金額が違い、公的年金から公的年金控除を差し引いた金額は「雑所得」となります。雑所得を除いて、いくらまで給与収入を得て良いのかシミュレーションしてみましょう。 <試算例> ・60歳以上64歳まで、年金収入年間84万円(月7万円)のAさん 年金84万円-公的年金控除60万円=雑所得24万円 扶養所得上限額48万円-雑所得24万円+給与所得控除55万円=給与収入上限79万円 ・65歳以上75歳まで、年金収入年間120万円(月10万円)のBさん 年金120万円-公的年金控除110万円=雑所得10万円 扶養所得上限額48万円-雑所得10万円+給与所得控除55万円=給与収入上限93万円 このように、年金収入と年齢によって給与収入を得て良い金額が変わってきます。60歳定年で64歳までの年金収入が月7万円の場合、パート収入を年間79万円までに抑えると扶養に入れる試算となりました。