ショパンが住んでいた部屋が当時の姿のまま保存された文化遺産でもある、ショーメ本店ブティックへ。
CHAUMET
歴史と物語が詰まった老舗ジュエラーの本店を訪れて! インテリアの意匠、本店でしか見られない美術品レベルのアーカイブ、メゾンを愛し訪れたセレブリティや文化人の残り香など、甘美な世界を堪能できる。 1780年創業、皇帝ナポレオンのジュエラーとして数々の宝飾品を製作したショーメがヴァンドーム広場15番地(現在のリッツ)に店を出したのは、1812年のこと。その後数度の転居を経て、1907年、ヴァンドーム広場12番地に本拠を定めた。ハイジュエリーの代名詞とも言えるヴァンドーム広場に店を構えた初めてのメゾンである。
2020年、創業240周年を祝って行われた大規模なリノベーションで歴史的アドレスである12番地は大きく変わった。顧客を迎えるブティックに加えて、歴史と文化遺産を語るグラン・サロン、そしてサヴォワールフェールの場であるハイジュエリーのアトリエがともに集う、ショーメの家メゾンが誕生したのだ。
1階と2階のブティックが手仕事にこだわった内装で仕上げられ、クリエイションのすべてが展開されていることは言うまでもない。だが、メゾン・ショーメの秘密は、ブティックの上、普段は一般に公開されることのない3階と4階に隠されている。
大きな玄関ホールから大階段を上がった3階は、ショーメの歩んだ歴史と文化遺産を語るグラン・サロン。ブルーに染められたエントランスを入ると、奥には天井画とシャンデリア、ゴールドの浮き彫りに彩られたサロン・ショパンが現れる。19世紀半ば、ショパンが住み、1849年、最後の作品となるマズルカを作曲したというゆかりのサロンだ。
また、中庭に面したサロン・デ・ペルルは、深いブルーとゴールドの色使いで、クラシックとモダンが融合する空間。邸宅の中でも、天井の高い3階はプレステージの高いフロアだけに、大きな窓から広場を見下ろし、18~19世紀の装飾を残すグラン・サロンは壮麗な雰囲気だ。複数の部屋からなるこのフロアにはアーカイブピースが展示され、重要な顧客を迎えるなどの特別な機会に使われている。