磯会長、賃金格差に危機感 全国社会福祉法人経営者協議会が全国大会
全国社会福祉法人経営者協議会(磯彰格会長)は8月29、30日、パシフィコ横浜で全国大会を開催した。磯会長は他産業で賃上げが広まる中、福祉分野との差が広がることへの危機感を強調。引き続き現場の状況を国に訴える姿勢を示した。 福祉医療機構が今年3月に公表した調査によると、2022年度に社会福祉法人の収支差率は1・7%と前年より0・8ポイント減少。赤字法人の割合は介護分野で約46%にも上るなど厳しい経営状況が続いている。 そうした中、24年度の報酬改定は介護が1・59%、障害が1・22%のプラスで決着した。一方、今年の春闘による全産業の平均賃上げ率は5・25%と高水準となっている。 こうした状況に磯会長は「この10年で狭まった全産業平均との賃金格差が昨年以上に拡大する懸念が高まっている」と指摘した。2月から始まった1人6000円の処遇改善に向けた補助金も、国に先駆けて経営協が事前にモニター調査で緊迫した経営状況を訴えた結果だと強調。「賃上げや経営状況の実績が次なる一手の重要なエビデンスだ」と述べ、今後も協力を求めた。 また、国が掲げる地域共生社会の実現に向け、社会福祉法人が地域における公益的な取り組みを一層進めるべきと訴えた。実際すでに経営協会員の95%が実施。また、政府が22年に立ち上げた孤独・孤立対策のプラットフォームに加盟した588団体のうち3割を社会福祉法人が占めているという。 磯会長は今後も実績をアピールする必要性を強調し「社会保障は国民にとっての負担ではなく、雇用や消費の拡大、未来への投資だと示すことになる」と語った。