逃亡直前のゴーン被告と面会 郷原弁護士が会見(全文1)検察判断は正しかったのか
不法出国に関する郷原氏の見解
それでは、このゴーン氏の事件と、今回の不法出国に関する私の見解についてお話をします。まず最初に論点を整理しておきたいと思います。まず明白な事実は日本で起訴され保釈をされていたゴーン氏が、裁判所の保釈条件に違反して日本を不法出国し逃亡した、という事実。これは犯罪行為であります。問題は、この事件に関してゴーン氏が日本で受けていた人権侵害が、起訴された罪状と比較して不当なものであったか否かという点です。 この点に関しては2つの面から背景を考える必要があります。まず第一に、ゴーン氏が日産の会長の地位を追放されたことは、検察が加担し、場合によっては日本政府が関与したクーデターであったのかどうかという点です。この点に関して、ゴーン氏はクーデターであったと主張し、検察、日産の側はそれを否定していますが、この点については2つの点が問題になると思います。 まず、ゴーン氏の犯罪事実とされた事実の根拠が薄弱なものであったんではないかという点です。そして2番目に、その問題に関与した他の人物に対する措置、処罰と、ゴーン氏に対する措置、処罰が不公平であったのではないかという点です。 もう1つの背景は、ゴーン氏が指摘している日本の刑事司法制度の前近代性です。この点に関しては、主として次の3つの問題があると思います。まず、身柄拘束期間が長いこと。そして、弁護士の立ち会いなしの取り調べが行われていること。次に日本の有罪率が99%を超えるという現実、そしてその背景です。そして3つ目に、いわゆる人質司法。無実を訴える被告人の身柄拘束が継続される、それによって自白が迫られるということ、これが推定無罪の原則に反するのではないかということです。 まず、ゴーン氏の追放がクーデターであったのかどうかという点について考えてみたいと思います。まず、一般的に経営トップが不正によって解任されるとき、会社法上どういう手続きが取られるかという点です。まず、その経営トップについて不正調査がひそかに行われ、その不正が取締役会に報告され、解任議案が決議されるというプロセスをたどるはずです。そして明らかになった不正の内容いかんでは、その後に刑事告訴という手続きが行なわれて刑事事件になることもあり得ます。