韓国でシャドーバンクのストレス強まる、不動産セクターへの融資急増
(ブルームバーグ): 韓国は、63兆ドル(約9750兆円)規模のシャドーバンキング(影の銀行)業界におけるウイークポイントとして注目されつつある。
金利上昇を受け、国内外で不動産へのエクスポージャーにほころびが生じており、ティー・ロウ・プライス・グループや野村ホールディングスなどの金融会社は、シャドーバンクによる不動産セクターへの融資のストレスについて懸念を示している。
韓国のある主要金融グループでは昨年、延滞率が6.55%と前年の2倍近くに上昇。シティグループのエコノミストは、111兆ウォン(約12兆5000億円)のプロジェクトファイナンス関連債務に「問題がある」と推計している。
韓国資本市場研究院(KCMI)のデータによると、同国のシャドーバンクによる不動産セクターへの融資額は昨年、過去最高の926兆ウォンと、10年前の4倍強となった。
政策当局者は一部の融資保証を拡大することで波及リスクの抑制を図ったが、昨年末に建設業者の泰栄(テヨン)建設が債務再編計画を発表し、再燃の脅威が浮き彫りとなった。同社の最大の債権者は先週、資本減損を穴埋めするために約1兆ウォンのデット・エクイティ・スワップ(DES、債務の株式化)が必要だとの考えを示した。
こうした再編をきっかけに、ノンバンクと呼ばれるシャドーバンクの間で緊張が高まりそうだ。金融安定理事会(FSB)のデータによれば、韓国で金融安定リスクをもたらしかねない活動を行うシャドーバンクの割合は他の先進国と比べて大きく、相対的な規模では米国に次ぐ2位。
ティー・ロウのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、クエンティン・フィッツシモンズ氏は「韓国で起きていることは、恐らく他の国でも起こりうることの縮図だろう。それが私を不安にさせている」と語る。
2008年の金融危機後、プライベートクレジットを含むシャドーバンクの融資が急激に拡大。銀行がリスクの高い融資から手を引いたことで、より小規模で収益性の低い企業が代わりの資金調達手段に頼るようになったためだ。