シングルで小学生の子どもがいます。年収が上がったら児童扶養手当が全額停止になると通知がきたのですが、すぐに停止されてしまいますか?
Aさんは40歳会社員、シングルで子どもが1人います。順調に出世をして年収が増えて喜んでいたのですが、児童扶養手当が全額停止になるという通知がきて、今後の生活費が減ると困るとのこと。事前に考えておくべきことはあるのでしょうか? というご相談です。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
児童扶養手当(子ども1人)のあらまし
まず定義を確認しておきたいと思います。児童扶養手当とは、ひとり親などの養育者を対象に、子どもの養育のために都道府県や市、福祉事務所設置町村から0~18歳までの子どもを育てる父母または祖父母などに支給される手当で、全部支給と一部支給があります。 ご相談者の例に絞って確認してみましょう。子ども1人なので、前年の所得が87万円未満の場合は月額4万5500円(年間では54万6000円)、230万円未満ならば一部支給となり、月額1万740~4万5490円の10円刻み(年間では12万4920~52万9560円)となります。 所得制限については、夫婦共働きの場合、いずれか高いほうの「所得」で判定します。ご相談者の場合は、シングルということですから支給停止になるのは、年収ベースでは340万円(所得では230万円)が目安となります。 また、支給停止かどうかは、基本的に1~6月までは前々年、7~12月までは前年の所得をもとに判断されます。
仮定:月額一部支給額1万7540円から支給停止になったとすると……
ご相談者の場合は、児童手当の支給が停止されるという通知が来たということですから、所得が230万円以上に上がったということになります。 それ以前の所得がここではわからないので、所得が202万円から230万円にアップしたと仮定しましょう。この場合、収入としては約300万円から340万円に増えたことになります。(国税庁の給与所得速算表から)表1では、比較しやすいように、養育費などはもらっていないという前提にしています。 【表1】
ご参考までに、一部支給月額の計算式を記載しておきます。 4万5490円-(202万円-87万円)×0.0243007=1万7540円 この計算式での202万は受給者の所得、87万は全部受給者の所得制限限度額です。 所得制限限度額は、扶養家族が何人いるかによって変わってきます。また所得制限額には、実際の所得税の計算で出した所得から医療費控除などを差し引くことができますが、ここでは省略しています。 簡単化のために、児童扶養手当だけを比較しています。所得から離婚した場合などかつてのパートナーから養育費をもらっている場合は、養育費に80%を掛けたものを所得にプラスしますし、児童扶養手当以外にも児童手当なども支給されますのでそれらを加算すると結果は変わります。 今回は、収入がアップして児童扶養手当がもらえなくなった前と後の比較をしています。大事なのは所得プラス児童扶養手当を足したもので比較することです。年収は40万円アップだけど、所得では28万円アップ。 ですが、年収アップ前は21万480円の児童扶養手当があったけれど、年収アップすると手当がなくなるので、結局6万9520円のアップにとどまっていることになります。 たとえ満額でなくても、児童扶養手当がもらえなくなることに不安をお持ちの場合は、お住まいの自治体で活用できる助成制度があるかもしれません。