国内導入わずか206台! クーペ×ミニバンのクロスオーバー? ルノー・アヴァンタイムとは?『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.8
クーペ×ミニバンのクロスオーバーコンセプト
「フランス車の個性が薄まった」と嘆く声がファンの間から聞こえ始めていた1999年。その年のジュネーブショーに1台のコンセプトカーが発表された。その名はルノー・アヴァンタイム。車名の由来はフランス語で「前衛」を意味するavant-garde(アヴァンギャルド)と英語で「時代」を意味するtimeを組み合わせた造語である。 ルノー製ミニバン・エスパスをベースにしたパーソナルクーペとして企画されたこのクルマは、全長4643mm×全幅1884mm×全高1600mm (生産型は全長4660mm×全幅1835mm×全高1630mm)と大柄なボディに3.0L V型6気筒DOHCエンジンを搭載。組み合わされるトランスミッションは6速MTがセレクトされていた。 クーペの魅力と言えば、何と言ってもスタイリッシュなエクステリアデザインと優れた走行性能にある。ところが、このコンセプトカーと来たら写真を見る限りスタイリングはお世辞にもカッコ良いとは言えなかった。いかにも鈍重そうなボディは6速MTを駆使したとしても、とてもスポーティな走りは期待できそうにもない。 上屋だけ見ればピラーレスハードトップの車体にストレートなボディラインの組み合わせは、たしかにスマートに映るのだが、ボディ下側半分はミニバンベースという出自からどうにもボテっとして重々しい印象を受けてしまう。
まさかの市販化!? ターゲットユーザーは?
1990年代中盤~後半にかけては新世紀を目前に控え、各国の自動車メーカーは従来のセダンやステーションワゴン、クーペ、SUV、ミニバンに代わる次世代の自動車像を模索していた。この頃ブームになったのが「クロスオーバー・コンセプト」だった。既存車種からの派生で作れるということで世界中の自動車メーカーが手を出し、その結果生まれたのが、コンパクトカーとミニバン、セダンとスポーツカー、ピックアップトラックとオープンカーなどの様々なクロスオーバーの一群であった。数多く生まれたクロスオーバーの中で残ったのが、現在世界的な流行になっているクロスオーバーSUVである。 次から次へと登場するこの手のクルマに少々食傷気味だった当時の筆者は、ジュネーブショーで発表された「ミニバン+クーペ」のアヴァンタイムを紹介する雑誌記事を見て「どうせ売るつもりはないのだろう」との感想しかなく、すぐに興味を失った。 ところが、である。それから2年後のパリサロンにブラッシュアップされたアヴァンタイムが再び出品されたのだ。聞けばこの斬新なコンセプトはそのままに市販化を予定していると言うではないか。まさに驚天動地。個性豊かなフランス車を見慣れたはずの筆者も、これには開いた口が塞がらなかった。「こんなヘンなクルマ、一体ルノーは誰に売る気なんだ……?」
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