「余命宣告されたモデラーの作品を一緒に作ろう!」見知らぬ“ガンプラ友達”が集結、絆が生んだ魂の作品「全力で生き抜いてみせる」
「ガンプラモデラーの絆はすごい」。そう思わされる作品が発表された。宇宙空間にさまざまなモビルスーツを配し、『機動戦士ガンダム』の『一年戦争』の激闘「ア・バオア・クー」を表現したものなのだが、実はこの中心にいるジオングは、「もって春まで」と余命宣告されたガンプラモデラー・pajaさん(@paja7777)の作品。ガンプラにCG合成を施し、臨場感あふれる作品を発表しているうすたまさん(@zichi3150)が、仲間のモデラーに呼びかけ、pajaさんのために制作したものだという。本作制作の裏側と、込められた思いについて話を聞いた。 【写真】pajaさんが抗がん剤の副作用と闘いながら制作…本作のベースとなった「ジオング」
■ジオングから感じた積み重ねてきた年月と“今そこにいるリアル”「魂が込められた作品」
pajaさんは、2021年に47歳で腎臓がんと診断。昨年「もって来春(今年の春)」と余命宣告を受けるも、家族の支えを受けながら、Xやブログ、YouTubeで自身の病状などを発信。また、趣味のガンプラ制作にも精を出している。そんな同氏が制作した「ジオング」は、息子から初めてもらったプレゼントで、親友とともにコンテストに出品し、賞を受賞。さらに結婚記念日のプレゼントとして、妻に贈った思い入れの深い作品。 ――今年1月に弊社記事で紹介したpajaさんのジオングを、臨場感あふれる見事な作品に仕上げられました。そもそもご自身は、以前からpajaさんと交流があったのですか? 【うすたま】いえ、先日のオリコンニュースの記事でpajaさんの現状、病状を知りました。それから、薄く、忘れられない思いがつきまといました。 ――何かできることをしたいという思いでしょうか? 【うすたま】そうですね。ただ、「とはいえ他人だし……」「それぞれの人生だし……」など少し距離のある気持ちもあり、行動しませんでした。 ――その気持ちに変化があったのは何かきっかけがあったのですか? 【うすたま】pajaさんのXの投稿を見たことでした。そのポストには、pajaさんがあるコンテストに作品を応募しようとしていたのですが、「メディアで取り上げられた作品は、賞対象外になってしまうみたいです」と書いてありました。その時、私は行動を止めることが出来ませんでした。すぐにXでpajaさんに連絡をして、「あなたが作ったジオングで、CG演出した作品を作らせてください」とお願いし、承諾していただきました。 ――すごい行動力ですね。pajaさんご自身の状況はもちろん、ジオングからも何か感じられたんですね。 【うすたま】pajaさんのジオングからは、モデラーとして積み重ねてきた幾年月が感じられました。逆に、“今そこにいるリアル”という現在性も感じました。これはすなわち、魂が込められている状態なんだと思いました。だから「このジオングはア・バオア・クーにいなくてはならない!」と思いました。直感が全てです。