静岡県、知事公舎廃止含め検討 2月県議会に方針報告へ
現在使用されていない静岡県知事公舎(静岡市葵区)について、県が2025年早々にも用途の廃止を含めた今後の活用方針を決定することが29日までに、関係者への取材で分かった。県議会2月定例会に方針を報告する。 知事公舎は1988年3月築の木造平屋建てで、敷地面積約1430平方メートル、建物面積約330平方メートル。県によると、建設から36年が経過するが、川勝平太前知事時代には最低限の修理しかできていないため、入居するには、修繕や工事の時間や費用を要するという。 5月に就任した鈴木康友知事は現在、同市内の民間賃貸物件を「借り上げ官舎」として利用している。知事は静岡新聞社の取材に「(公舎は)時代にそぐわない」との見解を示していた。浜松市長時代の2007年に浜松市行財政改革推進審議会から指摘のあった市長公舎を廃止し、その後、売却を実行した経緯がある。 知事の指示を受け、現在は公舎を所管する経営管理部が使用の継続か、別用途での利活用か、売却するかなどを協議中で、その後、庁内のファシリティマネジメント推進本部で方針を決定する。公舎を廃止・売却する場合も議決事項に該当しないが、県議会には報告する見通し。 <メモ>現在の知事公舎は静岡市葵区の閑静な住宅街にあり、斉藤滋与史、石川嘉延、川勝平太の歴代3人の知事が利用した。建物内には、迎賓館機能を持つ公用部分が約80平方メートル、知事の生活空間となる住宅部分が約250平方メートルあり、庭園も整備されている。1988年3月の完成当時の報道によると、総工費は1億2500万円。知事公舎を持つ42都道府県の建物平均面積に比べてやや小ぶりで、かわらぶきの純和風で居間、客間、寝室ともに和室と紹介された。2024年1月1日を基準とした公示地価は、知事公舎に最も近い地点で1平方メートル当たり22万円。県によると、23年7月時点で全国27道県が知事公舎を所有。このうち入居しているのは19県。近年は全国的に廃止の動きが強まり、知事の意向で使用しないケースもある。
静岡新聞社