家族でも「推し活グッズ」勝手に捨てたら“器物損壊罪”に…? 大掃除で“法律トラブル”が発生するケースとは【弁護士解説】
「物を捨てられた」は離婚事由に該当する?
上記のように、家族が大切にしている物であっても、せわしなく大掃除を進めるなかで「不用品」と誤認して処分したような場合には、犯罪には当たらない。 一方、先に紹介した「怒った妻が夫のガンプラを捨てた事例」のように、「仕返し」や「腹いせ」などから、配偶者が大切にしている物だとわかっていながら処分してしまうケースもある。 このような場合には「故意」があるので、器物損壊罪が成立する可能性がある。 また、民事の問題として、捨てられてショックを受けた側の配偶者が離婚を決意する可能性も存在するだろう。 通常、離婚を成立させるためには夫婦間の合意が必要となる。しかし、民法770条に記載されている「法定離婚事由」に該当する事情がある場合には、合意が成立しなくても裁判によって離婚が認められる。 そして、配偶者の大切な物を勝手に捨てる行為や、止めるように言われても何度も繰り返し捨てることは、法定離婚事由のなかでも「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性がある。 とはいえ、ここでも重要になるのは「故意」の有無だ。 「配偶者が大切にしている物を、故意ではなく誤って一度だけ捨ててしまったという場合には、法定離婚事由が認定される可能性は低いでしょう」(早矢仕弁護士)
不用品を処分する際には家族間で確認を
故意がなく誤って捨てた場合であっても、大切にしている物を捨てられた側の家族がショックを受けることに変わりはない。 また、法律上、夫婦の財産は夫・妻が各自で所有する「個人財産」と、夫婦で共有する「共有財産」に分けられる。そして、配偶者の個人財産を処分する場合のみならず、夫婦の共有財産を処分する場合にも、配偶者の同意が必要とされる。 もし、大切にしている物を勝手に捨てられた場合には、家族間といえども不法行為に基づく損害賠償を請求することが、法律上は可能だ(民法709条)。 家族で仲良く新年を迎えるためにも、無用なトラブルは避けたいもの。大掃除では、他の家族が所有している財産だけでなく家族全員で共有している財産についても、捨てる前にきちんと確認をとることが大切だ。
弁護士JP編集部