チェリストにとっての最重要レパートリー! バッハが生み出した6曲の無伴奏組曲【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
J・S・バッハ『無伴奏チェロ組曲』 バッハ演奏の未来を切り開いた名チェリスト
今日6月24日は、フランスのチェリスト、ピエール・フルニエ(1906~86)の誕生日です。 パリの芸術家一家のもとに生まれたフルニエは、当初ピアノを学んでいたところが、小児麻痺によって右足の自由を失い、チェロに転向。不屈の精神によって大成した20世紀を代表する名チェリストです。 オーケストラとの共演はもとより、室内楽のほか、ケンプや、バックハウス、ルービンシュタイン、グルダなど、20世紀を代表する名ピアニストたちとのデュオ活動によって、世界中のファンを魅了したフルニエの偉業の一つが、1972年に、J・S・バッハ(1685~1750)の『無伴奏チェロ組曲』の演奏譜を校訂し、アメリカのインターナショナル・ミュージック社から出版したことです。 作曲当時、合奏の際の通奏低音を担う楽器とみなされていたチェロのために6曲の無伴奏組曲を作曲したバッハの先進性は見事の一言。その後、忘れ去られていたこの名曲をパブロ・カザルスが再発見。今では、チェリストにとっての最重要レパートリーとなっています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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