「看護師は寿命がある限り働くのよ」上司の“助言”を胸に…フリーランスナースが提案する新たな看護
うつ病を乗り越え起業へ…クラファンに挑戦
高齢化時代、介護・福祉施設など様々な現場で看護師の存在が求められています。個人のライフステージにあわせ柔軟に働ける新しい看護モデルを広めたいと奮闘する女性を取材してから1カ月。夢に向かいクラウドファンディングに挑戦した結果は…。 フリーランス看護師のサポートなどを行う「ポケットナース」。 愛知県東浦町に住む中嶋美世子さん(46)が、今年1月にひとりで立ち上げた事業です。中嶋さん自身もフリーランス看護師で、小学6年生の男の子の母親でもあります。 20年以上勤務した総合病院を3年前に退職した中嶋さん。きっかけは「うつ病」でした。仕事の重責と子育ての大変さが重なり体調を崩し、しばらくの間ゆっくり休養をとりました。 徐々に、心の健康を取り戻していくうちに、このまま“潜在看護師”になるのはもったいないと“自由な働き方”を選択しました。「ポケットナース」の事業名に込めたのは、「看護師がいつでもポケットの中にいるような身近な存在であり続けたい」という思いです。 中嶋さんは「ポケットナース」の法人化を目指し、1カ月半かけてクラウドファンディングに挑戦してきました。目標金額は60万円。当初、中嶋さんの情熱を理解してくれる人は少なかったものの、受付終了間際の9月30日午後11時半過ぎ、ようやく目標達成にこぎつけました。 「1個人のフリーランス看護師に対しこんなに協力してもらえたことは、病に伏していた頃には想像できなかった。そんな私が48人の方から支援をいただいて、その資金で法人化できることは本当にうれしい限りです。支援金で法人化した看護事業はあまりないと思うので、自信をもって社会貢献していけます」(中嶋さん)
「ポケットナース」が目指す社会貢献とは
11月の株式会社設立に向け、急ピッチで業務を進めてきた中嶋さん。クラウドファンディングを通し事業に賛同してくれる仲間が30人ほど見つかりました。 中嶋さんに新しい看護モデルの具体例や、法人化した「(株)ポケットナース」が、どのように社会貢献していくのかたずねると…。 「ポケットナース」の大事な役割の一つは、フリーランス看護師が困った時の相談相手になることだと言います。 中嶋さんによると、フリーランス看護師になると真っ先に直面するのは、カンファレンス(患者のケアについて問題や課題を共有する場)の機会が失われていくことだと言います。 「患者に対する声かけはこれで大丈夫か?がん患者から旅行がしたいと相談されたら、それを実現させるためにどんな方法があるのか…知識の共有が必要になります。そうした看護師同士の“勉強の場”を持続的に作っていくことが大切です」(中嶋さん)