230人と同時に対局、世界一の多面打ち名人 ~囲碁棋士・白江治彦~
実は多面打ちというのは、立ち仕事での移動、そして腰を曲げての着手など、体力的にキツい仕事でもある。だが白江は、78歳になった今も、10面打ちなどの多面打ちを続けている。 「たくさんの人に喜んでもらうのは、棋士として何よりのやりがいなんです。同じ時間を過ごすなら少しでも楽しんでほしいし、体力的には全然大丈夫」と笑顔で語る。 ファンへのサービス精神から生まれた多面打ちは、今では様々なイベントで取り入れられている。 「碁はすばらしいもの。末永~く楽しんでほしいです。僕は教えている方にも、こういうことをやりなさい、とは一切言わない。面白いことをたくさんやって、お迎えがくるまで、ずっと一緒に囲碁を楽しみましょうね」と。 ※1 プロになるための養成機関のこと ※2 院生になるための試験対局のこと ■王 真有子(おう まゆこ) ライター・囲碁インストラクター。囲碁雑誌・囲碁書籍の執筆多数。『囲碁手筋・基本のキ』(マイナビ出版)『囲碁スピード入門』(ユーキャン)などの構成を担当。インストラクターとしても、初心者や級位者から絶大な支持を集めている。吉原由香里・王唯任・万波佳奈の囲碁教室講師。