機械除草が縦、横にできる ”碁盤の目”田植え機開発 農研機構
水稲の有機栽培拡大へ期待
農研機構は15日、水稲の移植栽培で、苗を30センチずつ等間隔の碁盤の目状に植える「両正条植え」の技術を開発したと発表した。田植え機の進行方向と直交方向にも株が1列にそろい、これまで難しかった直交方向に機械除草ができるようになる。除草効率が上がり、水稲の有機栽培拡大につながるとする。 水稲の有機栽培では、乗用型除草機などで田面にレーキをかけて除草する。通常の移植田では、田植え機と同じ方向に除草機を走らせて条間の除草はできるが、直交方向に走らせる株間の除草は難しかった。直交方向には株が1列に並ばないため、除草機で踏んだりレーキで株も除かれたりするため。両正条植えでは縦横両方向きに機械除草ができる。 同機構は、田植え機の植え付け部分を活用し、両正条植えができる制御システムを開発。高精度な位置情報を把握できるRTKを利用し、直交方向にも株が1列に並ぶよう植える。秋田県大潟村での試験では、目標である誤差3センチ以内の精度を実現できた。試作機では自動操舵(そうだ)や自動旋回もできるという。今後、メーカーと協力して、両正条植えができる田植え機の市販化を目指す。 農水省のみどりの食料システム戦略では、2050年までに有機農業の面積を100万ヘクタールにする目標を掲げる。現状の面積は2万6600ヘクタール(21年度)。同機構は、水稲での有機栽培拡大が必要とみて、両正条植えと機械除草を組み合わせ、除草率90%以上、除草にかかる労働時間30%削減を目指している。
日本農業新聞