中国の億万長者が3分の2に減少…経済の低迷と政府の取り締まりを反映か(海外)
中国経済を反映
中国経済は、長引く住宅危機、高い失業率、地方政府の高債務、そし消費者需要の低迷に悩まされている。こうした逆風は超富裕層にも打撃を与えている。 2024年10月初め、中国が発表した2024年第3四半期の成長率は、過去6四半期で最も低いものだった。ロイターによると、中国政府は経済成長を促進するための景気刺激策を約束しており、今後数年間で1兆4000億ドル(約214兆4624億円)以上の追加債務を承認する計画がある。 「不動産価格が下落し、経済が全般的に厳しくなっている中、中国で超富裕層の数が減っているのは驚くことではない」とロンドン大学キングス・カレッジ(King's College London)の中国政治学教授ケリー・ブラウン(Kerry Brown)はBusiness Insiderに話している。 「政府が公平性とより大きなバランスを重視する一方で、富裕層は今自分たちに注目が集まることを望んでいないだろう」
超富裕層の国外流出
中国の億万長者たちは、習近平が推し進めた「繁栄の共有」への取り組みにも敏感になっている。これは億万長者たちに富を分かち合うよう求めるものだと広くみなされている。 その結果、テクノロジープラットフォーム企業に対する規制強化や、中国の富裕な起業家に対する施策やプロモーション活動などが行われることになった。 中国の超富裕層の中には、習近平国家主席に反対する発言をしたことで政治的な反発を受けた者もいる。その中には、アリババ(Alibaba)とアントグループ(Ant Group)の創業者で、かつては中国テック業界で無敵の大看板だった馬雲(ジャック・マー)も含まれている。 彼は2020年に中国の規制当局からの独占禁止法違反の調査、上場の一時停止などの措置を受け、数カ月のうちに120億ドルの個人資産を失う事態となった後、表舞台から姿を消した。 「他の超富裕層は、こうした注目を集めたケースを、中国から移住することで起こりうる将来のトラブルを未然に防ぐ正当な理由としているのかもしれない」とブラウン氏はザ・カンバセーション(The Conversation)の記事で書いている。 胡潤の富豪ランキングには反映されていないかもしれないが、投資移住会社ヘンリー・アンド・パートナーズ(Henley & Partners)のレポートによると、中国では2024年に過去最高の1万5200人の富裕層が国外へ流出する見込みだという。 富裕層とは、流動的な投資可能資産が100万ドル(約1億5000万円)以上の個人を指す。
中国からの資金持ち出し
中国では個人が海外に送金できる金額は年間5万ドル(約766万円)までであり、国を離れたい裕福な国民にとって問題となる可能性がある。 2023年のブルームバーグの報道によると、中国の一部の超富裕層は、これに対抗して、異例な方法、時には違法な方法で資金を移動させているという。
Hannah Abraham