映画『若き見知らぬ者たち』で総合格闘家を熱演した福山翔大と「UFC世界王者に最も近い日本人」の対談が実現!
──そこまでしてMMAファイターになりきろうとしていたんですね。 福山 台本を読んだ時点で、そのくらい人生をかけたい作品だと思いました。内山拓也監督の熱い思い、魂をなんとか具現化することが自分の使命だと。そこは平良選手の試合前のモチベーションと同じように、何かひとつ決まったらそこに向かっていくだけでした。こういう機会に敢えて聞いてみたいのですが、平常心は大切にされていますか? 平良 そうですね。一番はケガをしないように心がけていることですね。ただ、試合が近づくと、試合モードの頭になるので、他のことに対する集中力とかが持っていかれてしまう。オフのときは漫画を読むのが好きなんですけど、試合モードに入ったら3ページくらいしか読めないし、昼寝もできなくなる。目を閉じても「練習ではこうだったよな」みたいに思い返すことが多くなって、「格闘技脳」みたいな状態になってしまうんですよ。 福山 それは次の対戦相手についていろいろ考えたり、試合以外のことに関心が向かなくなるからですか? 平良 そうですね。自分の練習動画を見たりもするけど、「どうやったら、理想的な動きができるか」など自分をアップデートするためのことばかり考える時間が多くなっていますね。 福山 なるほど。 平良 まあでも、試合まで1週間を切ったらもうどうすることもできないんですけどね。そうなったら、リラックスしながら体重を作り、試合の日を待つだけですね。 ──この映画のハイライトは〝格闘技の聖地〟後楽園ホールを借り切り、実際に観客を入れて撮影した試合シーンだと思います。撮影時には福山さんも、平良選手が言うような「格闘技脳」になりましたか? 福山 格闘技脳なのかどうかわからないですが、僕はけっこう緊張するタイプなんです。普段、お芝居するときも自分の中に必要以上のものを抱え込みすぎてしまう。何かひとつに集中しなければならなくなったら、ご飯もいらなくなるというか、お腹もすかなくなるんです。今回の撮影中もそうでした。 平良 僕はそういうことはないですね。計量が終わったらウチの会長(元修斗世界フェザー級王者の松根良太)から「よっしゃ、リカバリーだ」と、たくさん食べることを薦められます。(減量で胃が小さくなっているので途中で)さすがにもうお腹いっぱい、みたいな感じになるんですけど(苦笑)。 福山 前日計量から試合までに、どのくらい体重を戻されるのですか?