眞栄田郷敦の熱演が光る映画『ブルーピリオド』は、原作ファンも納得の完成度！──8月9日公開
眞栄田郷敦が主演を務める映画『ブルーピリオド』は8月9日劇場公開。公開前から高評価が続く実写映画化作品の見どころを、ライターのSYOがレビューする。 【写真を見る】高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりらが好演！
眞栄田郷敦のひたむきな演技に胸アツ
マンガ大賞2020を受賞した山口つばさの漫画『ブルーピリオド』が、眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりといった旬の若手キャストの共演で実写映画化された。マスコミ試写が連日満席となり、追加試写が何度も組まれている点からも、注目度と評価の高さがうかがえる。 本作は、人に合わせて器用に生きてきた高校生・八虎（眞栄田郷敦）が絵画の魅力に触れ、がむしゃらに美大受験に取り組む物語。原作者の山口が「アートのスポ根を作ろうと思った」と語っている通り、今回映画化された【受験編】は八虎が自分の“好き”を貫こうとするユカ（高橋文哉）、絵の才能に恵まれた天才・世田介（板垣李光人）、美術部部長・森（桜田ひより）といった周囲の人物に刺激を受けながら、愚直に努力し続けて倍率200倍ともいわれる最難関校・東京藝術大学の入学を目指す姿に注力して描かれている。 ただ、藝大出身者である山口の経験に裏打ちされた物語や心情描写は、生々しくシビア。ファンタジックな青春音楽劇『サヨナラまでの30分』で知られる萩原健太郎監督が手掛けた実写映画版でも、彼が得意とする映像美の根底には泥臭い「表現者の苦しみ」が流れている。 劇中の「俺の心臓はいま動きだしたみたいだ」「初めて人と会話できたような気がした」というセリフにあるように、高校2年生で初めて人生をかけるに値する「好き」に出会った八虎。とはいえ、美大受験の観点から考えると彼の“目覚め”はかなり遅い。幼少期から絵画のスキルを磨いてきた受験生や受かるまで続ける覚悟の浪人生、元から「持っている」才人といった歳月・技術・感性の面でアドバンテージを持った“ライバル”たちの存在を目の当たりにし、八虎は心身ともにボロボロになっていく。
