教授が激怒…異常に確認癖がある新人男性医師が抱える「不安の正体」
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確認癖の根底に潜む不安
確認癖は伝染するのか、この支店に新卒で入った20代の女性行員は、半年経っても1年経っても、周囲の先輩に「これでいいんですよね」と確認し、何か問題を指摘されるたびに「○○さんが『これでいい』と言ったんです」と責任転嫁するらしい。そのため、この女性から質問されたり、確認を求められたりすると、顔をそむけて聞こえなかったふりをする先輩もいるほどだという。 この女性は、入行直後に些細なミスを支店長にとがめられ、1時間以上こっぴどく叱責されたことがあるそうだ。だから、「またミスをしたら怒られるのではないか」という不安が強すぎるあまり過度の確認を繰り返すのかもしれない。 何度も確認せずにはいられず、そのたびに周囲を巻き込んで辟易させるという点では、彼女もまた支店長と同様に「巻き込み型」になっているといえる。支店長も、実は「何か間違いがあったら、本店から怒られるのではないか」という不安が強く、それを払拭せずにはいられないので、部下に命じて本店に電話で確認させるのではないかと疑いたくなる。 一般に、確認せずにはいられない人の胸中には強い不安が潜んでいることが少なくない。たとえば、知り合いの新人男性医師は、名門国立大学を卒業し、大学病院の外科に入局して働き始めたのだが、手術の際の消毒を何回やってもちゃんと滅菌できているか確認しないと気がすまず、ときには1時間以上経っても延々と消毒し続けていた。そのため、教授が手術を始められず、激怒した。 この新人医師にも言い分はあった。「完全に消毒して無菌状態にしないと、感染症を起こすかもしれない。100%無菌状態になっているのか不安だった」らしい。この不安は、支店長や新人行員の確認癖の根底に潜む不安と同種のものだと思われる。 「完全に無菌状態にしておかないと教授に怒られるのではないか」という不安が強く、それを払拭するために1時間以上も消毒し続けたのだろうが、かえって教授を激怒させる結果を招いたのである。
片田 珠美(精神科医)