姉への腎移植を終え1年ぶりの復帰戦を迎える春日萌花が胸中を告白「病気を持っていたりハンディキャップを持っていたりする人たちに伝えていきたい」
「ファンの方が待っていてくれなかったら、戻らなかった」
姉への腎移植を終え約1年ぶりの復帰戦を迎える春日萌花がガンバレ☆プロレスのリングに帰ってくる。 春日萌花インタビューカットギャラリー 春日が復帰を果たすまでの1年1か月、その間には数々の葛藤と試練があった。昨年6月の欠場から手術の延期や痛みとの戦いを経て、ようやく7月15日に東京・高島平区民館でガンバレ☆プロレスのタッグマッチで復帰することが決まった。 手術後の痛みや心の変化と向き合いながら、ファンや仲間たちの支えによって再びリングに立つ決意を固めた春日。復帰戦では伊東優作との特別な「腎移植タッグ」として、同じように試練を乗り越えてきた伊東との共闘に注目したい。 復帰戦を迎える春日の意気込みと共に、新たな挑戦への覚悟が感じられるインタビューとなった。 『ディザスター・アーティスト2024』 日時:2024年7月15日(月)開場17:30開始18:00 会場:東京・高島平区民館席種 ▼春日萌花復帰戦 勝村周一朗&YuuRI 対 伊東優作&春日萌花 ①復帰までの思い ――春日選手、いよいよ復帰ということで。私たちも待ちに待っておりました。 ありがとうございます。私もいつ呼んでいただけるかと(笑) ――本当に復帰をみんなが心待ちにしていた、この1年1か月だったんじゃないかなと思うんですけど。今回は7月15日、東京・高島平区民館での復帰という、ガンバレ☆プロレスで今回はタッグでの復帰です。 はい。 ――まずは復帰までの思いから教えてください。 「来ちゃった、どうしよう、いかがいたそう」とかですね(笑) ――でもご自身の中では、やっぱりすごい経験をされた後の復帰なので、思いが込もっているんじゃないかなと思うんですけど。 それはあります。それはあるんですけど、ただ去年の6月に欠場に入って、それで私ちょっと自分の中でリセットというか。一旦、気持ちもいろいろな面でもリセットされてしまっているので。そこからの再構築みたいな感じがあるから。「ウズウズしてすぐにでも試合したいよ」ってみんなが言っているようなことは、私はまったく思ってないですね。やばい、あと何日、あと何日っていう。 ――もうすぐ来ちゃう!みたいな。 そうですね。 ――そういう心境なんですね。心・技・体でいうと、心の部分がまだそこまで至っていないという感じなんですかね? おっしゃる通りですね。ここまでに至るときに、去年の6月に欠場入って、本来であればその直後に手術をするはずだったんですけど、ちょっと私の体調がよろしくなくて。延期というか1回中止になってしまって。手術できるか、できないか分からないという状況になって。いろいろな検査をして『できます』となって、9月に手術をしたんですけど。正直なことを言うと、プロレスラーじゃないですか、今まで体を使う仕事を20年近くやってきて。腎臓をあげられるというのは、つまりはめちゃめちゃ健康であるという証拠なわけですよ。体のどこかに異常があったら誰かにあげるということはできないので。何の異常もないから腎臓を提供できたという、自分の体に対してのある意味自信みたいなものがあったわけですよね。あったんですけど、6月の手術が私側の健康面で一度中止になり、結局9月に手術になってしまって。一度中止になったことで自分の体が無敵ではないとわかりました。それでもまだ早めのリング復帰をあきらめられず、本来であれば『3か月は休んでください』とお医者さんが言ったので、12月に復帰してやる、くらいに思っていました。 ――元々は? はい。ラジオも週に1回レギュラーがあるので、手術の日程を『大体入院が1週間くらいです』と言われたんですけど、そこを5日にしてくれと言っていて。月曜日に入院して火曜日に手術して金曜日に退院すれば、土曜日の放送に行けるわと思って。休まないつもりだったんです、まったく。 ――そうなんですか。 そう思ってたんですけど、手術跡が結構痛くて。ラジオも1週お休みをいただきましたし、復帰を目指した3か月が経っても、まだ傷が痛むわけです。復帰は難しそうだな、と。であれば、そろそろ練習に行こうかなって、せめて。復帰はできなくてもプロレスの練習くらいはしておきたいなと思って、3か月経ったくらいで行こうと思うと…シクシク、「まだ行かないで」と、傷が痛むんですよ。結局、練習再開できたのが年明けから。年明けから練習は復帰したんですけど、それでもやっぱりお腹を切ってるので、初めての前受け身とかちょっと怖いですよね。 ――確かに衝撃で痛みが走ってくる可能性がありますものね。 傷がちゃんとくっ付いてはいたんですけど、明らかに1本傷跡があるわけで。そこに当たったらどうしよう、みたいな思いがあって。自分の体の変化と、それに伴う心の変化。手術延期になっちゃうし、恐怖心は消えないし。意外と私、いけないじゃん、みたいな。あんなに絶好調で、体も心も元気でいたつもりなんですけど、でもいざやってみたらいろいろな変化が出てしまったというのを感じているので。 だから復帰も4月に発表しましたけど、発表しなかったらもう一生戻れないわと思ったので。もう資格試験とか入試と一緒。ここに本番があるから、そこに向けて自分で調整しなさいね、っていうための発表だったんですよ。 ――ご自身の中でも覚悟をそこで1度決めてしまったという部分で、それがあるから言ってみれば「いける」という風にしようと? やらざるを得ない、みたいな。 ――リミットを切ったわけですね。 はい。 ――そういう意味では、怖さみたいなのってどうですか、現時点で。 めっちゃあります。 ――めっちゃありますか? はい。 ――それはみんなありますよね。特に肉体を酷使する競技なので。怪我の後のプロレスなんて本当に考えただけでも、ものすごく恐ろしいなとは思うんですよね。それを今回カムバックされるというところで、ファンの皆さんからの思いみたいなものも温かかったんじゃないかなと思うんですけど。皆さんの声というのは、どんな風に届いてました? たぶんファンの方が待っていてくれなかったら、戻らなかった。自分が戻ろうと思ったきっかけみたいなものが、既存のファンの方、今ずっと応援してくださっているファンの方が待っていてくれるというのと、あと実は新たな出会いが結構あって。ラジオの仕事をしていると、本当にふとラジオをつけてくださる方がいるんですよね。春日の欠場前の試合を見たことがないんですよ。欠場後に出会った人もいて。そういう人にプロレスへの1歩を踏み出してほしい、みたいな思いもあって。 ――なるほど。 新しい人にも知ってほしい。あとは私を元気づけてくれた同僚がいっぱいいて。米山香織選手が主催しているYMZでは、リングアナやプロレス以外のミニゲーム、コスプレプロデュースなどでずっと居場所を作っていただきました。また“やまいきフリマ”という、大鷲透選手自身が欠場したときに、欠場した人は急に収入が絶たれてしまうので、そういう人たちが少しでも自分のお金の足しにできるようなことをやっていきましょうということで、大鷲さんが始めたフリーマーケットがあったんですね。それに何回か参戦させてもらって。“やまいき”ってお相撲用語で「怪我する」という意味ですよね。そのやまいきフリマに関わっていた、やまいき仲間たち、ガンプロで言えばまなせゆうなちゃんもそうですけど、どんどん復帰していくわけですよ。頑張って輝いている姿を見て、すごく元気をもらえたし。あとはガンプロが独立になって、みんなそれぞれできることを担当し合ってるのも知ってるので、そういうのもすごくこちらのモチベーションというか、みんな頑張ってるなという気持ちになりました。あとは欠場してる間と欠場する前に助けてくれた人として、先ほどの米山さんやYMZのみなさんとやまいきフリマの大鷲さんと、あとは藤田ミノルさん。藤田ミノルさんもトークショーであったり、イベントだったりで少しでも支援できたらということでやってくださったり。あとは勝村選手もお仲間が白血病で亡くなっているというのもあって、ドナーというところでの共通点があるからトークショーでやってくださったりとか。本当にいろいろな方に助けていただいた力が全部積み重なって「よし、戻ろう」って感じですかね。 ――その皆さんからの思いの集大成というのが、本当に今度のリング復帰、恐怖心との戦いを乗り越えていこうとなったきっかけということですね。 そうですね。
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