タイム合算方式の新予選が生んだ、“悔しいポールシッター”。Q1で5番手の山下健太がアタックを振り返る「ドライバーとして情けない」
岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT開幕戦。Q1、Q2のタイム合算方式で競われる新たなフォーマットとなった予選でGT500のポールポジションを獲得したのは前年王者の36号車au TOM'S GR Supraだったが、明るい表情を見せる坪井翔とは裏腹に、相方の山下健太は、はにかむ中にも複雑な感情を隠しきれていなかった。 GT500は36号車au TOM'S、GT300は65号車LEONがポール獲得!|スーパーGT開幕戦岡山:公式予選タイム結果 「正直、嬉しさよりも、自分に対しての微妙な……ダメだなという気持ちが優ってしまっています」 そう振り返る山下。というのも、山下はQ1を担当したが、今ひとつタイムは伸びず1分17秒813で5番手。トップから0.324秒遅れという“持ちタイム”で坪井にバトンを渡すことになったのだ。 しかしQ2での坪井は目の覚めるようなアタックを見せ、1分17秒748を記録。2番手以下に0.247秒の差をつけて大きくタイムを稼いだ。その結果、Q1、Q2の合算タイムで36号車が最速となり、ポールポジションを射止めるに至ったのだ。 Q2のタイムで上位陣の結果が決まっていた従来の予選方式と違い、現行ルールではQ1とQ2のタイムが共にグリッド順に直結する。その点で山下は今回、坪井に「助けられすぎた」として、いちレーシングドライバーとして悔しさを覚えているのだ。山下は記録上はポールシッターとなるが、これだけ悔しさに苛まれるポールシッターを生んだのも、ある意味この新予選方式と言えるかもしれない。 予選を終えて「ドライバーとして情けない」とまで語った山下。セッションをこう振り返った。 「今日のQ1の完成度は低すぎたと思います」 「今日の専有走行で新品タイヤを履いて走ったんですけど、路面がおかしくて(1分)19秒くらいのタイムしか出ませんでした。そのイメージもあったので、若干置きに行ったり、行き過ぎたり……ぐちゃぐちゃになってしまったQ1でした」 「新品タイヤ(で臨むQ1)ではタイムを出さないといけないし、Q2でトップを取れるのであればQ1でトップを取れないといけないと思います」 「若干ミスがあったにしても、せめて2番くらいにはいないといけないと思います。5番手なんていうのは、ドライバーとして情けないなと思います」 そう悔しがる山下だが、話を聞くとレーシングドライバーとしての自信やプライドまでは失っていない様子。翌日に控える決勝レース、ひいてはこれからのレースで「ヤマケンここにあり」を見せられるか。
戎井健一郎
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