札幌「千歳鶴」初の女性杜氏 市澤智子さん(上) 微生物に魅せられて
仕込み時期ではない今がとても大切
確かに、私たち消費者のイメージとしては、「杜氏は日本酒を造ることが一番の仕事」と思いがちですが、実は仕込み時期(日本清酒の場合は10月から4月くらいまで)ではない夏場こそ杜氏にとって大切な時間なんだそう。 「『夏は暇なんでしょ?』なんて言われることもあるんですけど(笑)、仕込みをしていない時期に、仕込みのための基盤を作っておかないと絶対に美味しい日本酒にはならないんです。この半年で、より良い醸造をするための体制を整え、設備のメンテナンスをし、どういう日本酒を醸造するかのアイデアを整理する…、これらがちゃんとできていないと、向こう2年を無駄にするようなものです。杜氏の仕事は『1本のタンクにどう仕込み、最高の日本酒を造るか』ですが、そこに至るまでにすべきことがたくさんあるんです。」(市澤さん) クリエイティブとマーケティングの両方をインプットして醸造に臨む…。これが今の杜氏のスタイルです。その中で、市澤さんが日本清酒の杜氏として目指していることがあります。