高齢者“働き控え”解消につながる?見直しの背景は…年金カット『50万円の壁』とは
■年金“50万円の壁”どう見直す?
今、制度の見直しが検討されている背景に何があるのでしょうか。 内閣府が行った調査では「年金額が減らないように労働時間を調整する」と答えた人が、60代後半で3割に上るということです。 こうした背景に、厚労省は、今の年金制度が「高齢者の就業意欲をそいでいる例もある」として見直しを始めました。 では、どう見直しを図るのでしょうか。 現在、65歳以上で働いている人は、賃金と厚生年金を合わせて月50万円を超えると年金が減る仕組みで、これが“50万円の壁”と呼ばれるものです。 例えば、65歳で働きながら厚生年金20万円をもらう場合、賃金40万円の場合、月の収入が合計60万円になるはずですが、50万円を上回った分の半分が年金から引かれます。この場合、10万円の半分となる5万円が引かれ、年金の受け取り額は15万円となります。 今、50万円の基準を見直すため検討されている案がこの3つです。 (1)62万円に引き上げ (2)71万円に引き上げ (3)上限額を撤廃 ただ、年金全体の支給額も増えます。厚労省の試算では、62万円引き上げると、年金の支給額が新たに1600億円追加。71万円引き上げで、2900億円。上限廃止で4500億円新たに増えると試算されています。 厚労省の担当者は「将来世代の給付水準が低下するため、見直しには議論を重ねていく必要がある」としています。 年金部会は、年内までに議論をまとめるということです。
テレビ朝日