規制ばかりのリゾート地には辟易…民間企業の手に負えなくなったニセコリゾート、グダグダな行政が「唯一」行うべきこととは?
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第51回 『「これが縦割り行政の限界例」...オールメンバーが揃ったのに、利害関係で《足並みバラバラ》ニセコ行政の弱点』より続く
民間企業の競争と協調に委ねる
改めてニセコエリアの観光をどうするのか。DMOを主体に少なくとも観光行政は二町または三町一体化するのか、それとも各々が見切りをつけて独自に活動するのか、選択すべきではないだろうか。そもそも、行政やDMOが主導して、あれこれ企画立案し、PRしたりイベントが開催されたりし、またルールが策定されて規制がかけられるリゾート地がいいとは思えない。DMOや行政機関は黒子に徹するべきだろう。 俱知安町は新幹線や高速道路などの開設を控え、単独で生き残る潜在成長力がある。もはや独自で歩む時なのかもしれない。経済規模や観光圏からして、ニセコエリアの主要を占める俱知安町がイニシアティブをとるのは合理的だ。目的はあくまでニセコ全体が潤うことにあるはず。自分の町だけのことを各々考えるのであれば、いままで通りバラバラにやればいい。もちろん対等の精神で配慮も必要だ。ニセコ町や蘭越町に傾斜配分投資する、ニセコ町の環境に関する考えを取り入れる、ニセコ町にあるニセコビレッジ、アンヌプリのインフラを優先するなど、すべてはニセコエリア全体の更なる発展のためだ。 NPBの財政問題や、自治体間の不揃いは、地元住民だけでなく、観光客にとっても投資家にとってもマイナスでしかない。 もはやニセコは巨大すぎて、自治体もDMOも、民間企業でもコントロールできる規模ではないのかもしれない。であれば、国際色豊かな5つに分かれたスキーリゾートが、各々自らのスキーリゾートに対して主導権を持ち、切磋琢磨し、独自に開発していく現在の形を是認してやっていくしかないのではないだろうか。幸いにも花園とニセコビレッジ、モイワでは、資金力を持つ外資系企業による長期的な一体開発が進行中である。