鳴った電話「呼ばれちゃったな」 受け入れた戦力外…“無感情”で向かった球団事務所
西武を戦力外に「ポカーンとしちゃいますよね」
西武を戦力外となった鈴木将平外野手が、14日にZOZOマリンスタジアムで行われた12球団合同トライアウトに参加し、2安打をマークしてアピールした。戦力外通告を受けたのは2週間前。ひたすらバットを振り続けてきた。 【映像】戦力外も…運命のトライアウトに遅刻、土下座も虚しく強制退場 鈴木は静岡高から2016年ドラフト4位で入団。2019年には初の開幕1軍入りを果たし、2022年は「1番・中堅」で開幕スタメンも勝ち取った。2023年には自己最多となる72試合に出場して打率.240。今季は1月に左肘関節鏡視下クリーニング術を受けて出遅れ、33試合の出場で打率.191、0本塁打、OPS.468にとどまった。ファームでは47試合に出場し、打率.270、2本塁打、20打点だった。 26歳でまだまだ体は元気。ドラフトが終わった10月末、携帯がなった。「電話受けたら、だいだい野球やっていたら(戦力外と)分かるんですけど。ああ、呼ばれちゃったなって感じでしたね……」。 「ポカーンとしちゃいますよね。何も思えないと思います、普通の人だったら」 空虚な気持ちのまま翌日を迎え、球団事務所へ向かうと戦力外を告げられた。「僕自身、まだまだできると思っていましたし、チームの育成の方針的にも若い選手を。という感じだったので、とっても悔しかったです」。西武はドラフトで外野手2人を含む支配下で計7人を指名。押し出される形となってしまった。 第2次通告期間だったため、トライアウトまでは2週間。結果を出すことだけを考え、憂さ晴らしのようにマシンと戦った。「戦力外をくらってから、しっかり準備をしてきた。しっかり動けるというアピールはできたなかと思います」。 元楽天の清宮虎多朗投手からは低めのボールを片手で右前へ、元巨人の笠島尚樹投手に対しても泳ぎながら執念でボールを捉えた。「野球をまだやりたいんだという気持ちが形になってくれた」と、やり切った表情で白い歯を見せた。“吉報”で、電話が鳴るのを待っている。
上野明洸 / Akihiro Ueno