Supreme新作を「買える人」と「買えない人」本当の差、現在社会で早い者勝ちがもはや通用しないワケ
しかしこれほどの対策を講じても、かなりの枚数が転売市場に流れたという。850ドルのチケットが転売サイトで1万ドルで売られていたら、よほどそのアーティストに夢中でない限り、払う気にはなるまい。 ■行列代行は「究極の資本主義」の姿 先頭を取るためにお金を払う現象は急速に増殖中だ。これをどう考えるべきだろうか。 多くの人の目には、これはひどく不公平で非民主的な変化だと映るだろう。ある女性は2015年に裁判所の外で何日も待ったのに、同性婚を認める歴史的な裁判を傍聴できなかった。落胆した彼女は「裕福な白人の席取りのために貧乏な黒人にお金を払いましょう」というのが現在のシステムだと苦々しげに語っている。
だが別の視点から見れば、行列代行業の出現はいいことだ。貧しい人には列に並ぶ、プログラマーにはボットを書くという、それまで存在しなかった新たな雇用を創出したのだから、究極の資本主義だとも言える。 これまでこうした問題が起きたことはなかった。だが今日では避けて通れない。早い者勝ちの原則の内部崩壊が始まったのである。
マイケル・ヘラー :コロンビア大学教授