「サービス残業」は自分の意思でもNG?サービス残業の問題点とは?
タイムカードを先に切って、それから残りの仕事を片づけようと思ったことがある方もいるかもしれません。しかし、それは「サービス残業」にあたり、問題になる可能性があります。 本記事では、そのようなサービス残業の問題点について紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
サービス残業とは
サービス残業とは、時間外労働を行ったにもかかわらず、労働者に賃金が払われない労働のことです。労働者が所定労働時間外に行った業務を企業が認めなかったり、労働者の意思で時間外労働の申告を行わなかったりして発生します。 そのため、例えば上司から「タイムカードを先に切ってきて。それから残りの仕事を片付けよう」と言われ実行した場合、サービス残業にあたります。本来の残業は、残業時間を計算し、賃金もしくは割増賃金を支払わなければなりません。 ■サービス残業はNGなのか? サービス残業は、労働基準法に違反するためNGです。企業から労働者に対してサービス残業をさせることも、労働者が自分からサービス残業を行うことも違反の対象です。 労働基準法第37条では、企業は労働者に対して労働時間を延長して労働させた場合、その労働時間に対する賃金(割増賃金)を支払わなければならないと定めています。 そのため、サービス残業は労働基準法違反となり、同法第119条により6ヶ月以下の懲役または30万円以上の罰金が科される可能性があります。
サービス残業の問題点
サービス残業は、労働基準法に違反しているだけでなく、ほかにもさまざまな問題点があります。ここでは2つの問題点について紹介します。 ■残業代の請求ができない可能性がある 給料を計算する際に、労働時間を証明するものがタイムカードです。しかし、残業をする前にタイムカードを切ってしまうと、タイムカードを切ってからの残業時間の証明が難しくなってしまいます。 企業や機関に、サービス残業分の賃金の請求を訴えたとしても、残業時間の証明ができないため、支払われない可能性も大いに考えられます。 ■労災認定がおりない可能性がある 通常、労働時間外のけがや事故に対しては労災認定がおりません。そのため、タイムカードを切った後にけがや事故が発生してしまうと労災がおりない可能性があります。 通勤時間や労働時間に対して労災は適用されますが、サービス残業については証拠がないため、企業としても判断が難しくなるでしょう。 とくにサービス残業は長時間労働になる傾向にあるため、疲労がたまりけがや事故に発展する可能性が高いと考えられます。そのため、リスクの高いサービス残業は回避しましょう。