青木真也が体感したいのは「バランスを取らないHARASHIMAさん」【週刊プロレス】
9・29後楽園でHARASHIMAが次期KO-D無差別級王座挑戦に名乗りをあげた時、青木真也は「やっと来たか」という言葉で返した。上野勇希、遠藤哲哉という若い世代の人間を相手にそれぞれの物語を描いた王者が、DDTの絶対エースと呼ばれるHARASHIMAに求めているものを語った。(聞き手・鈴木健.txt) 【写真集】ブラジャーを取った方が勝ち! 青木真也がさいたまスーパーアリーナで目隠し乳隠しマッチ
今のエースは上野だと思う。 HARASHIMAさんは“象徴
――9・29後楽園でHARASHIMA選手からの挑戦表明を受けた時に「ようやく来たか」と返していました。青木選手的には、いつかHARASHIMA選手が名乗りをあげてくるという予感があったのですか。 青木 それまで上野勇希、遠藤哲哉とやってきて、そのあと誰が来るのかとなった時に、その世代の選手で名乗りをあげそうな人間が見当たらなかったんです。その合間をかいくぐってじゃないですけど、キャリアのあるHARASHIMAさんが来るかなっていうのがあって、あの発言になりました。 ――もうひとつ「HARASHIMAをめくる」という言い回しが印象的でした。 青木 やっぱりエースだからこそ、なんらかの姿を見せている部分があると思うんです。そうじゃないHARASHIMAという選手がどんなものなのかに対する興味ですね。 ――実際、10・3新宿での調印式で青木選手が言った「衰えている」という指摘にHARASHIMA選手は反発していました。 青木 あそこがフタをしている部分だと思いました。年齢からくる衰えというのは自分自身が感じていることなのでそう思うと言ったんですけど、逆にあれで大丈夫だなってなりました。 ――その直後にタッグマッチの序盤戦でHARASHIMA選手とグラウンドの攻防を繰り広げましたが、その中での気づきはありましたか。 青木 こっちがやることに対してちゃんと凌げているなというのは感じました。僕にとってはそれが続くのは嫌なものですから。それで凌ぎきって、蒼魔刀一発を食らったら終わるなと。 ――あの試合でも目の当たりにしましたからね。対戦する理由として「不動のエースだから」とあげていましたが、団体のエースに勝つことに対し、青木選手もなんらかの価値を見いだしているのかと思ったんです。 青木 エースということに関して言うなら、僕は今のエースは上野だと思っています。団体の顔ですよね。HARASHIMAさんに対するエースっていうのはどちらかというと“象徴”。その象徴が実際どんなものなのか見てみたい。 ――団体のエースを倒したという対外的な評価よりも、個人的な価値観によるエースに対する興味ですね。 青木 そうです。団体にとっては、エースがいることでの安心感というか、最後の拠りどころですよね。特にHARASHIMAさんはそれをずっと務めてきた人で、それには勝ち続ける必要があった。それをやり遂げてきた人を崩したらどうなるのかっていうのがあります。 ――総合格闘技の世界ではジャンルの顔的存在はあっても、団体を支えるエースという概念はあまりありません。 青木 まあ、強いて言うなら自分がそういう立場だったんでしょうけど、確かに格闘技の中でエースというものが論じられることはないですよね。 ――所属ではない立場でエース願望を持ったことはありますか。 青木 ないない。自分はあくまでも異物ですから。異物のままでいたいと思っている人間がエースという立場について自分だったら…とかは考えないですよね。