JO1 川西拓実、清澄名義の映画『バジーノイズ』挿入歌バイラル好調 制作陣の強い愛に応えるクオリティ
映画では、清澄が新たに組んだバンドのAZUR(アジュール)が演奏するシーンで流れる。「surge (single edit)」は、作詞・いしわたり淳治、作編曲・Yaffleという布陣。豪華なことはもちろん、それ以上に音楽好きの好奇心を思いっきりくすぐるクレジットだ。両者とも世代やジャンルをシームレスに捉えることのできる音楽家というのも、前述したむつきの世界観と一致していると言えるだろう。また、Yaffleは本映画にmusic concept designとして参加。劇中で流れる清澄の楽曲をすべて手掛けている。「surge (single edit)」は、バンドサウンド+DTMという構成のミディアムチューン。それぞれのサウンドが在るべきところに配置されている印象で、聴く者の周囲にゆっくり充満していくような包容力あるサウンドスケープが魅力の1曲だ。現実と夢が交差するような、独特の浮遊感が開放感に繋がっているのもいい。 メロディは、譜割りはシンプルだが、低音からいきなり高音へ移行する、またその逆のパターンが散りばめられている他、フレーズの始まりが絶妙に取りにくい音程だったり、ファルセット手前ギリギリの音域でのトーンが多かったり、リズムが独自で進行する部分も含め独特のグルーヴがあったりと、歌唱するには難易度の高い曲で、川西が所属するJO1にはない曲調でもある。川西はこの曲のメロディを丁寧に紡ぐストレートなアプローチを軸にし、感情表現を最優先して歌っている。JO1ではあまり感じられなかった地声の甘さを活かしているのも、演じるキャラクターに合っている。 映画『バジーノイズ』は、原作者はもちろん、映画の制作スタッフ陣も含め音楽を愛する人たちが作った作品だ。彼らの強い愛に、川西は強い想いで応え、音楽リスナーが愛するハイクオリティの楽曲に仕上げた。川西もまた音楽を愛する人であることを証明したのが「surge (single edit)」である。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-05-22
伊藤亜希