【大学野球】国学院大が伊東光亮の逆転満塁弾で今季初勝利 鳥山泰孝監督「全員の思いがこもった本塁打」
◆東都大学野球春季リーグ戦第3週第1日▽国学院大5-3亜大(30日・神宮) 開幕4連敗の国学院大は3点を追う7回、伊東光亮(4年=大阪桐蔭)の満塁弾などで一挙5点と亜大に逆転勝ちし、今季初勝利をマークした。 * * * 伊東の一振りがチームに今春の初白星をもたらした。7回、2点差に迫り、なおも2死満塁。113キロのカーブを強振して右翼席に逆転満塁弾をたたき込んだ。 「バットに乗った感じがした。行ったかなと思って、走っていました。自分が走者をかえすしかないと、打席に入りました」 ベンチでは鳥山泰孝監督(48)と歓喜の抱擁。指揮官は「ずっと抱きしめたかったですけど」と笑い、「僕もそれなりの期間、(監督を)やらせてもらっていますけど、あのような場面は初めての経験でしたね」と感極まった。 白星が遠かった。開幕4試合中、完封負けが3度。計2得点と貧打に苦しんでいた。伊東も11打数1安打と、どん底だった。だが「気持ち的に落ち込んでいる場合じゃない」と前を向いた。亜大投手陣のデータを分析し、ミーティングでは攻略法を思案した。4打数3安打と復活し、「気持ちを切り替えられた。入ってくれて良かったです」と笑みがあふれた。 最上級生の意地が爆発した。7回1死から代打で中前安打を放ち、打線に火をつけた矢田柊介(4年=戸塚)はこの日が初のベンチ入りで、リーグ戦初打席。一般入試で入部し、ラストイヤーにチャンスをつかんだ男の一打に、ナインは燃えた。鳥山監督は「矢田は苦労人。苦労して苦労して、きょうの初打席を迎えた。彼のセンター前ヒットからこの5点が生まれたのは素晴らしい」と語気を強めた。 3番の柳舘憲吾(4年=日大三)と4番の冨田進悟(4年=横浜)は粘って粘って球数を放らせ、四球を選んだ。伊東のグランドスラムはその直後に生まれた。指揮官は「スタンドからも含め、国学院を応援してくれる全員の思いがこもったホームラン」と語った。 伊東は「まだ1回勝っただけ。勝ち点も取っていない。次の試合も全員野球で勝てるようにしたい」とナインの思いを代弁した。苦しみ抜いた分だけ、成長を感じる1勝。一丸となった若武者たちが、戦国東都で勝ちに行く。(加藤 弘士)
報知新聞社