【漫画家に聞く】息子が捨て犬ではなく“捨てサラリーマン”を拾ってきた……? シュールすぎるSNS漫画に腹筋崩壊
もし息子が捨て犬ではなく、捨てサラリーマンを持ってきたら――。そんなシュールな冒頭から始まる家族を巻き込んだコミカルな騒動を描く、漫画『捨てサラリーマン』がXで多くの1.2万のいいねを集めた。 シュールな世界観に笑いが止まらない漫画『捨てサラリーマン』 作者は小山コータローさん(@MG_kotaro)。新作短編を早いペースで上げる彼だが、本作はどのようなアイデアから生み出されたのか。制作について話を聞いてみた。(小池直也) ――1.2万のいいねが付いていますが、反響などはいかがですか?またこのバズの理由をどのように分析していますか? 小山コータロー(以下、小山):もともと少年誌の賞に出して箸にも棒にもかからなかった作品なんです。そのまま日の目を見なくてもいいかと思ってましたが、一応Xで供養しようかとアップしたら意外と反応がよくて嬉しかったです。 ――本作の着想や制作のきっかけについて教えてください。 小山:とりあえず「捨て⚪︎⚪︎」にしようと思い、そこから考え始めました。わかりやすいし、みんなのイメージにあるサラリーマンの哀愁がマッチしそうだなと思ったので。それから一応「少年誌らしくポップに描くぞ!」と思いながら描いてます(笑)。 ――会話のテンポがコントのよう特徴的でした。お笑いを参考にされたり? 小山:基本的に漫画はあまり読みませんが、お笑いは大好きでコントや漫才を観ています。そこからの影響が大きいですね。あとは日本語も好きなので、言葉遊びや掛け合いで面白くするのが自分には向いてるなと感じています。 ――突然の展開が多いですが、読みやすい展開でした。物語を考える時に意識していることは何でしょう? 小山:深くは考えていませんでした。描いていてストレスのない展開が正解だと思うので、ストーリーに悩むことは割と少ないです。大きな場面転換やビジュアル的に派手な展開はなく会話劇になることが多いので、漫画というより読み物として読みやすいのかもしれないですね。 ――ご自分のシュールな絵柄についてはどう考えていますか? 小山:ただシンプルに絵が下手なんです。説明が難しいのですが「ギャグ漫画すぎて嫌だな」と思うことがあるので、下手なりにギャグ漫画すぎず、綺麗になりすぎず、キャラクターに個性を持たせすぎない中間地点を目指していますね。ビジュアルで面白くするのはあまり好きではないので、掛け合いの面白さの邪魔にならない絵を意識しています。 ――ギャグ漫画作家を自称する小山さんにとって「ギャグ漫画」とは?ぼんやりしたイメージでも結構です。 小山:ギャグ漫画は、自分が描くものにおいては「コメディ」を「漫画」に落とし込むものですね。一般的には「漫画」に「コメディ」を落とし込むもののして認知されてると思います。 ――小山さんは多作ですが、どのように制作スピードを保っているのでしょう。 小山:ショートばかりなので多作に見えるかもしれません(笑)。ただ、ギャグ漫画ってネタ探しに一番時間を食うんですよね。僕は副業漫画家なので本業の休憩中とかに思い付いたことを簡単にメモしておいて、帰宅したらそのメモを元手に肉付けしていく、という感じで制作しています。 ――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか? 小山:漫画をあまり読まないのですが、ギャグ漫画を描くようになってからは和田ラヂヲ先生のすごさを感じています。唯一無二で、いまだに「こんな発想あるのか!」と驚きがありますね。あとはお笑い。漫才、コントが大好きなのでたくさんのネタから影響を受けています。 ――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。 小山:和田ラヂヲさんのようになりたいとも思いつつ、とはいえやっぱり誰にも変え難い作家になりたいですね。
小池直也