58歳会社員、年金の「繰下げ受給」を考えています。厚生年金だけ「70歳」から受け取ると毎月「4万円」増えるって本当ですか?
年金の繰下げ受給や老後も働くことによる注意点
ただし、年金の繰下げ受給を選択することによるデメリットも存在します。最も注意が必要なのは、繰下げ受給を優先することで生活費が不足する可能性です。貯蓄を崩しながらでも年金受給開始まで余裕を持って生活できるならば、この期間に支出が収入を上回っていても問題ありません。 また、60歳以上になっても働き続けようとする場合、在職老齢年金による年金の一部停止も考慮しておきましょう。在職老齢年金は、一定以上の賃金を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者を対象に、年金の一部または全部が支給停止になる仕組みです。厚生労働省の発表では65歳以上の在職している年金受給者のうち、2割弱が支給停止対象となっています。
生活資金に余裕があるなら年金の繰下げ受給は有効
生活資金に余裕があるのであれば、年金の繰下げ受給はリスクなく効率的に年金受給額を増やせるおすすめの方法です。そのため、老後も長期にわたって働くことができるのであれば、将来的な資産の不安を軽減できます。 ただし、繰下げ受給を優先させることで受給開始までの生活が困難になるのは問題です。また、無理をしてまで働き続けたほうがいいというものでもありません。身体や心の状況、考え方によっても最善の選択は変わります。今まで年金について考えたことがなかったという人は、老後の年金受給について検討してみることをおすすめします。 出典 日本年金機構 年金の繰上げ受給 日本年金機構 年金の繰下げ受給 厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について 厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第10 在職老齢年金・在職定時改定 執筆者:御手洗康之 AFP、FP2級、簿記2級
ファイナンシャルフィールド編集部