平和サミット共同声明、全会一致ならず ゼレンスキー氏は「理解」
ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナの和平案を協議したスイスでの首脳級会合「世界平和サミット」の閉幕後に記者会見した。「ウクライナを含むあらゆる国の領土の一体性を武力で脅かしてはならない」などと確認した共同声明を78カ国が支持した点について「大きな成功」と評価した。全会一致とはならなかったが、各国の立場や意見の違いを踏まえ「理解できる」と述べた。 【写真】ウクライナ侵攻以降、ロシア人の主な移住先 「ウクライナにとって公正で持続的な平和」を目指すとした15~16日のサミットには、92カ国(うち首脳級は57カ国)と8機関が参加。中立的な立場を取るインドやサウジアラビアは共同声明に加わらなかった。 共同声明では、ロシアが占領するザポロジエ原発をウクライナ管理下へ戻すなど核の安全確保▽食糧安全保障を脅かさないこと▽捕虜の交換と連れ去られた市民・子供の帰還――などを求めた。核兵器の使用や威迫への反対も明記した。平和の構築のためには「すべての当事者の参加と対話」が必要であるとも指摘し、今後も具体的な取り組みを続けると表明している。 今回、ウクライナ侵攻の当事国であるロシアは招待されず、ロシア側もサミット開催に反発していた。しかし参加国からは、ロシアの参加を望む声も多く上がった。会見でこの点について問われると、ゼレンスキー氏は「多くの国がロシアの参加を望んだが、同時に、大半の国はロシアと握手したがっていなかった」と反論した。ただ、ゼレンスキー氏は、サミットでの議論をもとに策定する「行動計画」をロシア側に伝え、2回目のサミットへのロシアの参加を模索するとしている。 ロシアへの影響力を期待してウクライナが参加を求めながらも不参加となった中国については、「中国は私たちを助けることができると信じている。中国にはウクライナの友人であってほしい」と、今後の関与に期待を示した。 2回目のサミットの開催時期や場所は未定だが、ゼレンスキー氏によると複数の国が自国での開催に関心を示している。【ベルリン五十嵐朋子】