富士山通行料、山梨側が4000円に値上げ方針…静岡と足並みそろえ混乱防ぐ狙い
山梨県が富士登山の規制費用などとして導入していた通行料(1人2000円)について、来年から4000円に値上げする方針であることがわかった。夜間の入場を制限するゲートの閉鎖時間についても午後4時から2時間前倒しする方針で、県は20日にも、富士吉田市内で開く説明会で新たな規制案を示し、結論を出す。 【写真】「コンビニ富士」外国人らの迷惑行為続き、店の前にも新たな柵を設置
地元自治体の関係者らによると、山梨県は今夏に初めて実施した登山規制の必要経費などから計算し、来年は3000~5000円の範囲で通行料の値上げを検討してきた。その中で、静岡県が来年から1人4000円の「入山管理料」の導入を検討していることを踏まえ、両県で足並みをそろえて来訪者の混乱を防ぐことにしたという。
また、1人1000円を任意で徴収していた協力金は廃止して通行料に一本化する一方、1日4000人の人数制限は変更しない方針だ。
富士山が2013年に世界文化遺産に登録されて以降、登山者数が増加し、夜通し登る「弾丸登山」などが問題となってきた。
そこで、県は今夏から5合目にある登山道の入り口にゲートを設け、その運営費として、協力金とは別に通行料の徴収を始めた。
夜通し登る「弾丸登山」が9割減少するなど大きな効果がみられ、シーズン終了後、県は規制にかかった費用などを検証したうえで、来夏に規制を強化する方針を示し、地元観光関係者からの懸念も踏まえ、慎重に検討を進めてきた。
ある地元関係者は今回の規制強化について、「これで富士山の安全性が向上すればいい。安心に登山できるようになれば、山としての魅力も高まるだろう」と話している。
オーバーツーリズム対策、両県は綿密な協議を
県が富士登山の通行料を4000円とする方針をまとめたのは、来夏から規制を始める静岡県との協力体制を明確にする意図が大きい。
今夏の規制により、山梨県側での弾丸登山は大幅な減少をみせたものの、根絶までには至らなかったうえに、軽装登山などの防止にも課題が残った。静岡県側でも弾丸登山は続いているほか、遭難者も増えた。