市原悦子さん主演「岸壁の母」が佳境に突入、新二役・大和田獏からのコメントも到着「市原さんの優しい表情が忘れられません」
市原悦子さんが主演を務めるドラマ「岸壁の母」(毎週月~金曜夕方5:00-5:30、BS松竹東急[全国無料放送・BS260ch])の第30話が、8月2日(金)に放送される。物語はいよいよ佳境を迎え、それに伴い端野新二(青年期)役を演じた大和田獏からのコメントも到着。そこで本記事では、後半戦のあらすじや見どころとともに、大和田が明かす“撮影秘話”なども紹介していく。 【写真】若かりし頃の市原悦子さん“いせ” ■“子どもを想う母の心”を描く「岸壁の母」 1977年に制作された「岸壁の母」(全40話)は、実在する人物・端野いせをモデルにした作品で、戦時中に女手一つで息子を育てる母親の姿が描かれている。主人公の母・いせ役を務めるのは、「家政婦は見た!」シリーズで25年にわたり主演を務め、映画「黒い雨」では第13回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど、数多くの映画やドラマ、舞台で功績を残した名優・市原悦子さん。 酒乱の夫に先立たれたいせは、ある日一人息子の新二を連れて上京する。しかし東京で働こうにも職はなく、食べるにも事欠く日が続き、“これ以上息子に苦労を掛けるくらいなら…”と東京湾の岸壁に立つことも…。そんな中、いせは“死ぬくらいならどんな苦しみにも耐えられる”と、懸命に新二を育てることを決心するのだが――。 子どもを想う母の心が色濃く描かれた本作。懸命に前を向き、命をかけて息子を守ろうとする強い母の姿は、見ていて勇気づけられる内容となっている。 そんな本作の主題歌は、二葉百合子が歌う「岸壁の母」。多くの演歌歌手によってカバーされてきた国民的な名曲として知られており、岸壁に立ち息子の帰りを待つ母の姿が目に浮かぶ歌詞は、ドラマにより一層味わい深さをもたらしてくれる。 ■「新二は必ず生きて帰る」…息子の帰りを健気に待ついせの姿に注目 第30話から佳境を迎える本作の後半では、戦争によって離れ離れになったいせ親子の様子が描かれる。 戦争が激化し、大学へ進学した新二も軍需工場要員となり勉強どころではなくなっていた。学徒出陣に次いで徴兵年齢の切り下げも決定し、いせは迫りくる新二の徴兵に怯える日々を送る。 しかし一方の新二は、友人たちの志願を見送りながら、自分だけが残っていることにイラ立ちを感じ始め、知らぬ間に大学を退学。そして満州の軍需工場で働く手続きをとるのだった。いせは新二に“生きて帰ること”を固く約束させ、恋人ののぶ子とともに出発を見送る。その後新二の手紙だけを生きがいに、息子の帰りを待ち続けるが――。 物語後半では、いせが岸壁に立ち新二の帰りを待ち続ける健気な姿が描かれ、タイトルや主題歌にも絡んだ名シーンとなっている。戦争に敗れた日本は引き揚げが始まるが、2年が過ぎても帰ってこない新二…。彼が招集された部隊はとっくに全滅していたが、いせは息子の死を信じることができず、舞鶴港に出かけては、新二の消息を尋ね続けるのだ。 中でも、「新二は必ず生きて帰る」といういせの悲痛な叫びや、決して希望を捨てない姿からは、彼女の心情が痛いほど伝わってくる“印象的なシーン”となっている。 ■端野新二(青年期)役・大和田獏 コメント ――大和田さんが演じた新二と母役の市原悦子さんとのやりとりは本当の親子のような情が感じられます。撮影当時の市原さんとのエピソード等があればお聞かせください。 市原さんは心からの演技をなさる名優で一つ一つのシーンが勉強になりました。回を重ねて行く度に本当の親子の様な情を感じていました。明るい方で歌がお好きで撮影の合間に2人で歌ったことも覚えています。 ――母の自分を想う気持ちは分かりつつも自ら志願兵となる新二の気持ちについて、演じられた当時と今とで感じ方は変化されましたか。 当時は若い私でしたが、戦争の悲惨さ残酷さが強く響きました。その思いは今も変わりません。 ――「岸壁の母」は47年前の作品のため、今では配慮により表現しがたいエピソードも多くあります。昭和と現在のドラマの違いをどう思われますか。 現代はコンプライアンスが厳しく言われ、少々描き辛いこともあるかもしれないと思います。 ――子を想い無事を信じて帰りを待ち続ける母の心は普遍的な愛と感じました。大和田さんが「岸壁の母」の中で特に母の愛を感じた箇所をお聞かせいただけますか。 中学生の新ニが学校から帰って来て鴨居にぶら下がって母に甘えるシーンの市原さんの優しい表情が忘れられません。 ――最後に「岸壁の母」をご覧のみなさまにメッセージをお願いします。 現代も世界の至る所で戦争は起こっています。このドラマは時を超えて戦争の恐ろしさと親子の愛と尊さを伝えてくれると思います。どうぞハンカチを握りしめてご覧頂ければ幸いです。 ■BS松竹東急 編成制作局・総合編成部 吉備涼子氏 コメント 終戦から79年を迎える今夏に「岸壁の母」を放送しています。市原悦子さん演じるいせの母の愛は現在も変わらず見る人の心に響きます。戦時下でひたむきに一人息子の無事を祈り生きる姿や、かわいらしくも哀しみを帯びた市原さん独特の語りに引き込まれる作品です。 普通に暮らせる日常の尊さ、戦争はあってはならないことだと改めて感じました。いせの息子・新二役の大和田さんが寄せてくださったコメントとあわせて「岸壁の母」の放送をぜひご覧ください。