「悪性リンパ腫のステージ4をテレビで告白」笠井信輔(60)が貫いたワイドショーアナとしての姿勢と「家族は合わせ鏡」と語る意味
── すでに降板していた『とくダネ!』で、病気のことを公表したのはなぜでしょうか? 笠井さん:約30年間、ワイドショーに関わってきた者としての責任感です。これまで私は、番組のなかで有名人のプライバシーに関することをニュースにしてきました。 取材した方のなかには報道されるのを好まない方もいらっしゃいました。それなのに、自分の私生活が大きな局面に差しかかったときに「これは私のプライバシーなのでそっとしておいてください」というのは、ちょっと違うと思ったんです。
ちょうど私が病気になる1年前に、小倉智昭さんが膀胱がんにかかって、本当に細かく病状を公表され、反響も大きかったんです。病気の情報を求めている人が多いということも知りました。 小倉さんの姿に、私はワイドショーアナウンサーとしてのひとつの生き方を見せていただいた気がしました。それで私も古巣である『とくダネ!』で発表することにしたんです。 ── 公表したことによって変化はありましたか? 笠井さん:番組内で『びまん性大細胞型B細胞リンパ腫』にかかったと、病気の「型」まで伝えました。悪性リンパ腫は90種類ほどありますが、それぞれ治療法も対応も違うんです。だから、リンパ腫と言っても、どの型なのかが重要です。専門の先生からは、「笠井さんが病気の型まで公表したのは重要なことでした」と、よく言われました。
同じ型のリンパ腫を患っている方たちは、「自分と同じ型だ。経験や情報を知りたい」と思われたようです。それまで300人程度だったインスタグラムのフォロワーが30万人に増えました。 インスタでは周囲からも驚かれるほど、詳細に自分の病状を報告しました。私の病気は発見されたとき、すでにステージ4で脳にも転移しやすいやっかいなタイプでした。通常の治療法では治らない、といわれていたんです。 それでも主治医の先生は「いまの医療では、ステージ4が手遅れという診断ではありません。がん種と薬が合えば乗り越えられます。一緒に頑張りましょう」と言ってくださいました。