文明と接触したことのない原住民の“最後のひとり” 周りが亡くなり、民族の最後の一人になるとは何を意味するのか
「イゾラド」とは「隔絶された人々」という意味のアマゾンの密林に住む謎の先住民族である。そのイゾラドが30年前頃から文明社会の領域に姿を現すようになった。 【画像】男性は性器の先を紐で結んで、腰のところでゆわえている その姿を追って話題を呼んだNHKスペシャル「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」の放送から2年後の2018年、続編「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」が放映された。 20年間にもわたってイゾラドを追うディレクター国分氏に私たちは聞きたかった。追い続けるのは使命感もあるのか? 文明を拒絶する彼らと交流できたのか? 未知なるものを解明することに答えはあるのか? 2025年1月8日(水)午前2:20からの再放送を前に、インタビューを再掲載する。 忘れられない表情がある。 どこか怯えているようだった。ぎこちなかった。見たことのないものだった。 その人の過去に何があったのか、私は考えざるを得なかった。 30年前、アマゾン奥地で素っ裸の二人の男が見つかった。彼らは文明社会と接触したことのない先住民「イゾラド」。ブラジル政府は一人を「アウレ」、もう一人を「アウラ」と名付けた。アウレの表情が頭から離れない。彼はもうこの世にいないのだが──。 二人は誰にも理解できない言葉を話し、時に暴れ、文明に触れていった。言語学者のノルバウ・オリベイラさんは一つひとつの言葉の意味を拾い、アウラが同じ話を何度も語ることに気づく。それは、「死」についてだった。 アウラとはいったい何者か。ある民族の最後の一人になるとはどういうことなのか。 NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」を制作した国分拓ディレクターは、アマゾン奥地の取材を約20年続けており、『ヤノマミ』『ノモレ』といったノンフィクション作品でも知られる。 「今回でアマゾン取材は最後です」 挨拶もそこそこに国分さんはそう切り出した。これで最後……画面には何が映っているのだろうか。