大阪王将「ナメクジ大量発生」SNS投稿事件。世間を賑わせた告発者が“実刑判決”となったワケ
9月の公判では「大量発生」が争点に
9月の公判で行われた被告人質問で、検察官に「大量とはどのくらいを指すのか」と問われ、被告人は次のように述べた。 「本来、ナメクジは1匹もいないはずなので、3匹も4匹もいたら大量だと思っています」 さらに、店長もナメクジが大量に発生していたことを知っていたのではないか、とも述べていた。なぜなら、以前に「ナメクジ超大量発生してます」と店長にLINEで報告した際に、店長からの返信が素っ気ないものだったからだという。 「店長からの返信は、『ザルにもいっぱいいるから気をつけて』とだけでした。異常事態なので通常は確認するはずです。ということは、店長はナメクジが大量にいると知っているのだと思っていました」(被告人質問から) 被告人は、アルバイト時代に県内の別店舗へ異動となった経験があるものの、同じ運営会社とはいえ、異動先ではナメクジを一切発見したことがなかったという。また、異動先の店舗から仙台中田店へ異動を命じられた同僚が、仙台中田店の状況に「ヤバいと言っていた」と振り返っていた。
店長の供述は「信用できる」と認定
判決で須田裁判官は、仙台中田店の店長が事情聴取で「ナメクジの大量発生はなかった」と述べたことは信用できると認定。そして前述の返信についても、過去にザルの裏でナメクジを発見したことがあって注意喚起のために返信しただけで、「ナメクジなどどうでもいいという趣旨ではない」と供述していることについても信用できると認定した。 さらに、他の従業員も「ナメクジ1匹を見たことはあったものの、大量発生していることはなかった」と供述していることから、店長の供述は整合していると評価した。
被告人の証拠写真についての供述は「信用できない」
一方、これまでの公判で、被告人は「2022年7月12日に被害店舗の冷蔵庫の隙間にナメクジが5、6匹いたのを見た」、「その日以降も5、6匹のナメクジがいるのを複数回見た」などと当時を振り返っている。 特に被告人質問では、投稿当時に話題になった証拠写真について細かく問われていた。その投稿とは、店長と被告人とのLINEのやりとりをスクリーンショットしたもの。LINEには、「ナメクジ超大量発生してます」の文言とともに、証拠写真が送信されている。 当時、冷蔵庫の隙間にナメクジが5・6匹いたという。ただし、写真からはナメクジらしきものが1匹確認できるだけ。それでも、被告人は「ナメクジの処分を急ぎすぎた結果、よく確認していなかった」と供述。 だが、須田裁判官は「被告人の供述は信用できない」としたうえで、「大量のナメクジが発生していたという事実はなかった」と断じた。 「被告人は、大量にいる衝撃で、(略)写真をよく確認していなかったためなどと供述しているが、納得できる説明とは言い難い」(判決から)