廣岡達朗コラム「森敬斗が三遊間のゴロを正面処理、私が田中浩康コーチに伝えたこと」
すべての責任は監督にある
阪神が7月20日まで1点差ゲームで4連敗を喫した。とにかく打てないゲームが続いた。 【選手データ】森敬斗 プロフィール・通算成績・試合速報 人間は一生懸命にやればできるのに、一生懸命にできない原因がどこかにある。私は詳しい事情を知らないが、関西では練習を集中してやらせない人間が周りに多いのだと思う。 周囲がどうであれ、監督が全責任者であるということを、今の人たちは知っているのか。もっと良い戦力があればいい? もう少し良い助っ人を呼んでくれれば? そういう問題ではない。コーチは選手が悪いと言うが、コーチが悪いから選手が悪くなる。コーチが悪いのは監督が悪いからだ。突き詰めていけば、すべての責任は監督にあるのだ。 阪神は一、二番をベンチに置いた日もあった。もう少しコーチがしっかり教えれば、近本光司にしても中野拓夢にしてもさらに良い選手になる。佐藤輝明は左方向への安打が増え始めた。彼にもどんどん教えればいいのだ。大山悠輔は四番を外れたが、「打撃の神様」と称された川上哲治さんならユニフォームを脱ぐ。昨年チームを日本一に導いた四番のプライドを奮い立たせるべきだ。 私は守備コーチ時代、「投手が投げてから担当の選手を見たら遅い。最初からずっと見ておけ」と言われたことがある。構えはどうか、捕り方はどうか、細かくチェック。コーチにはそれだけの責任があるのだ。
まだまだ教え方が足りない
DeNAの遊撃手、森敬斗が先日、走者一塁で三遊間へのヒット性の打球を正面で捕って二塁封殺した。ほかの選手なら逆シングルで捕っていた。内野守備コーチの田中浩康は早大の後輩だけに、私は言ったことがある。「いろんなことを教えてほしい。彼が驚くようなプレーをすれば、なぜうまくなったのかと首脳陣が考えて勉強するようになる」。田中は「はい」とうなずいた。それでも、まだまだ教え方が足りない。正面で捕るのは当たり前。毎日やり続けるべきだ。 DeNAはただ一生懸命にやるのと勝つために一生懸命になることの違いを分かっていない。だから今季も勝たないと思う。私が監督をやれば、三振して平然とした顔でベンチに帰ってきた選手をどやしつける。それだけの真剣みが必要だ。