2季目のJ3で躍進 FC大阪 38歳のトップが明かす 独自の経営戦略と“花園”ホーム化の経緯
サッカー・Jリーグで、2シーズン目のJ3に挑んでいるFC大阪。クラブはJ昇格以前から、独自の地域連携戦略を進めています。このたび、FC大阪の経営トップがラジオ番組にゲスト出演し、経営の理念や、ホームスタジアム確保の経緯について語りました。 【写真】FC大阪のホームスタジアムとなっている、東大阪市花園ラグビー場 FC大阪を運営する株式会社F.C.大阪の代表取締役CEO、近藤祐輔さん(38)。185センチという上背を持つ元GK、元Jリーガーで、クラブのトップに立って4年目となる若手社長は、同クラブが他と一線を画す地域連携戦略を立ててきたといいます。 大阪にはすでにガンバ大阪やセレッソ大阪といった実績のあるJクラブがいたなか、後発のFC大阪の認知度はまだ高くなく、広告価値も限られているのが現実だったと、近藤さん。そのため、地域との連携に注力し、企業との協業を進める方針を打ち出しました。 2018年、JFL(日本フットボールリーグ)にいたシーズンに、スポーツ界で初めて大阪府との包括連携協定(府政のPR、地域活性化、子ども・福祉、スポーツ・健康、防災など5分野にわたる連携と協働に関するもの)を締結。さらに、府内の10以上の市町村とも提携し、地域全体の価値を高める取り組みを実施。「『行政と連携したい』という企業という会社は多いので、ジョインしてもらって、我々とご一緒していくいただくような形」と、近藤さんは説明しました。 一方で、大阪第3のクラブとしてJリーグ昇格を果たすべく、最も重要な課題だったのが、Jリーグの基準に見合うホームスタジアムの確保。その候補として当時、浮上したのが、“ラグビーの聖地”東大阪市花園ラグビー場でした。 2019年に開催されたラグビーワールドカップを契機に大規模な改修が行われ、施設としての魅力が一層高まっていた同スタジアム。この舞台をサッカーとラグビーの両方に対応できる施設として位置づけたクラブは、「スポーツのまちづくり」を掲げる東大阪市の構想に共鳴し、サッカーとラグビーの共存を提案。長期にわたる対話と協議を重ねた結果、スタジアムを管轄する東大阪市と合意に至り、Jリーグ参入に向けて花園ラグビー場をホームスタジアムとして使用することが決定しました。 参入要件を着々と揃えたなか、2022年JFL最終節のホームゲームで1万2千人以上の観客を集めたこともあり、動員条件をクリア。首位と同勝点の2位と、成績面も満たしたことで、悲願のJリーグ昇格を果たしました。J3の1年目、昨シーズンは11位でしたが、今シーズンは37試合を終えて5位。1試合を残してJ2昇格プレーオフ進出を決めるなど、チームは飛躍を遂げています。(※2024年11月17日現在) 近藤さんはサッカークラブ経営における「チーム」と「クラブ」の一体化が成功の鍵だと考えていると語ります。J3のクラブには、予算や選手層、観客動員数の面で優れたチームもあるなか、昇格を果たせないクラブが多いのは、「チームとクラブの方向性が一致していないことが原因だ」と分析。 「クラブ経営は一般企業の経営と類似点が多い」「選手たちはプロフェッショナルであると同時に、クラブが選んだ従業員でもある。選手たちの努力なしには、チームの強化も昇格も実現できない」と語るリーダーは、チームとクラブの統一的な運営ならびに組織全体で目標に向かって進むことの大事さを説いていました。 ※ラジオ関西『としちゃん・大貴の ええやんカー! やってみよう!!』2024年11月11日放送回より
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