「固定残業代」のせいで残業をしても残業代がなかなか出ません。どうすればいいですか?
固定残業代のせいで残業をしても残業代が出ない、そうお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。固定残業代の存在については、多くの方が頭を悩ませています。 そこで今回は、固定残業代によって残業代が出ない場合、どのように対応すればいいのかを考えていきます。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
固定残業代の性質
まず、残業代が出ない理由を知るため、固定残業代の性質を確認していきましょう。 厚生労働省によると「『固定残業代』とは、その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のこと」とされており、実際の残業時間と関係なく、一定時間分の残業代が定額で支給される手当のことをいいます。 例えば、求人票や労働契約書などでは「固定残業代として40時間分の残業代を毎月4万円支給」といったように記載されています。この場合、40時間以下であれば、残業時間が0時間であっても40時間であっても4万円の固定残業代が手当として毎月支給されることになります。 ただし、何時間残業をしても40時間分の残業代しか支給されないというものではなく、超過分に関しては追加支給がなされます。仮に50時間の残業をした場合、40時間を10時間超えるとして残業代1万円が追加支給されるといった具合です。
残業代が出ない場合に考えられるパターン
固定残業代が存在し、かつ残業しても残業代が出ないパターンとして、一つ目は、実際の残業時間が固定残業代の基礎となる残業時間内であることが想定されます。 先に見たように、40時間分の固定残業代が支給されている場合、10時間残業しようが30、40時間残業しようが、別途で残業代の支給はされません。40時間分の残業代4万円が支給されるだけにとどまります。 二つ目は、会社側が固定残業代の運用を間違っている可能性も考えられます。よくあるのは、固定残業代のことを役職手当などのように「基本的に、残業時間に関係なく一律の手当で残業させることができる制度」だと勘違いしている場合です。 それが違法だとは知らず、一定時間を超えた場合の追加支給が不要だと思い込んでいるわけです。固定残業代によって残業代が支給されない場合、考えられるパターンとしては上記の二つになるでしょう。