好きな言葉を集める自分だけの辞書ノート「Jishoru」 子育て世代や高齢者になぜヒット? 学生のアイデアを形にした印刷会社に聞いた
自分の『特別な物』を書き込んで、自分だけの辞書になるノート「Jishoru」(じしょる)が、現在アタラシイものや体験を応援購入するサイト「Makuake」に出品中だ。あいうえお順に自分の好きな言葉と思い出の解説を書いていく、ちょっと変わった構成になっている。駒澤大学経営学部の学生3人と大阪書籍印刷との共同開発とのことで、大阪書籍印刷に話を聞いた。 【写真】ページを開くとこうなっています
まるで辞書?!なフォーマットに書き込んでいく
「日記じゃない」「思い出を楽しく記録できる」ノートって、一体どういうことだろう?しかも「あいうえお順に書き並べる」というフォーマットがまるで辞書のようだ。だから名前も「Jishoru(じしょる)」なのか。 このありそうでなかったフォーマットのノートJishoru。「ケーキ」なら「け」のページに書き込み、次に好きな種類やお店、思いなどを3行のスペースに記していく。あいうえお順だから、後から検索しやすい。 1ページ目から書き始めなくていい。だから、日記にありがちな「1月1日から書かなきゃ」とか、2月から空白ページが目立つようになってそのまま、といったプレッシャーもない。
大学生のこだわりをプロが形にしたノート
このJishoruは、マーケティングを学ぶ現役大学生が考案した。企業から出されたテーマで商品化を目指す産学連携プロジェクト「Student Innovation Collage」、通称「Sカレ」に参加した駒澤大学菅野ゼミ3人のアイデアを大阪書籍印刷が形にした産学連携開発商品だ。 2022年度からSカレに参加する大阪書籍印刷は、同年に近畿大学の学生と共同開発した「Shiori Note」と、「Jishoru」という2商品の開発を行った。 Jishoruを考案した学生は「自分の中の小さな幸せに気づけるノートを作りたかった」という。やわらかい心を持つ若者ならではの発想に思えるが、思い付きなどではなく、100個以上出した案の中から磨き上げた商品企画プランだという。 ところで、大阪書籍印刷がSカレで出したテーマは「未来が描けるノートづくり」。Jishoruは過去の思いや出来事を綴る商品だが、どこにどのような未来性を感じたのだろうか? 大阪書籍印刷企画開発チームの担当者は「書く行為そのものの楽しさはもちろん、Jishoruは『明日の自分』に宝物を残していく商品だと感じています。未来というと“エコ”とか“地球”といった大きなくくりで考えがちですが、『明日の自分』は、一番大切な未来だと思います」と語る。 ノート製造は「書くことが楽しくなるノートに」という学生の想いに添うように、製造方法を示しながら行った。過去の製造事例を基に、本の綴じ方や紙質はもちろん、サイズ感や罫線に至るまで、一つ一つ学生の意思を確認しながら進めたという。 製本は多くの出版書籍で採用されるホローバック製本で、180度にパタンと開きやすいため書きやすい。ページもはがれにくいから、長期保存にも適している。 なめらかな書き心地にこだわった紙は裏抜けしにくく、今はやりのガラスペンやつけペンの書き味も楽しめそうだ。 学生さんがもっともこだわったのは表紙の色。「どの世代からも『この色が欲しい』と思ってもらえるバリエーション展開にしたいと、話し合いには時間をかけました」