「ゼルダの伝説 大地の汽笛」が15周年! ニンテンドーDSという端末を活かした仕掛けがたくさんあった、ペンアクションアドベンチャー
任天堂より2009年12月23日に発売されたニンテンドーDS用ゲームソフト「ゼルダの伝説 大地の汽笛」が、本日2024年12月23日で発売15周年を迎えた。 【画像】ゼルダ姫から、正式な機関士として任命されるリンクだが、ゼルダ姫が襲われ、魂の抜けた身体を持ち去られてしまう 本作は、2007年発売の「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」の続編として、ニンテンドーDS用ソフトとして制作されたタイトル(「夢幻の砂時計」は、「ゼルダの伝説 風のタクト」の続編になる)。「夢幻の砂時計」から約100年後、テトラたちが無事に新ハイラル王国を建国したあとの世界が舞台となっている。 本稿では、そんな「ゼルダの伝説 大地の汽笛」の魅力を振り返りたい。 ■ 汽車に乗って、旅を楽しむ 本作のリンクは、モヨリ村に暮らしている少年で、見習い機関士だ。 正式な機関士の任命式の最中、線路が突然消える原因や国に起こっている異変を探るため、「神の塔」へ連れていって欲しいとゼルダ姫にお願いされる。そこでリンクはゼルダ姫を連れて神の塔へと向かったが、神の塔はバラバラにされ、さらにゼルダ姫は魂を抜かれて、身体だけ拐われてしまった。 線路がなくなってしまうと魔王が復活し、魔王復活の魂の受け皿としてゼルダ姫の身体を使われることを知ったリンクとゼルダ姫(の魂)は、ゼルダ姫の身体を取り戻す為に、共に冒険へ向かう。 容姿は、いわゆる「トゥーンリンク」と呼ばれるトゥーンレンダリングされたリンクになる。目が猫のように見えることから、ファンの間では「猫目リンク」とも呼ばれているタイプのリンクだ。 前述の通り、今作は「風のタクト」、「夢幻の砂時計」の続編だが、内容は「風のタクト」、「夢幻の砂時計」をプレイしておらずとも充分遊べるものとなっている。「夢幻の砂時計」から約100年が経過しているので、リンクは「夢幻の砂時計」のリンクとは別人の設定で、名前も自由につけることができた。 なおゼルダ姫は、「夢幻の砂時計」に登場したテトラと、風の勇者リンクの玄孫に当たる。 目的地までのルートをタッチペンで路線図に書き込むと、いよいよ汽車の旅が始まる(路線図に書き込まずとも汽車は発車させられるが、操作が難解になる)。「前進」、「全速前進」、「停止」、「後退」などを駆使して汽車を操作してマップを進んでいく。 汽車の旅には賛否両論あったが、筆者は気にならなかったほうだ。移動中、景色を色々と楽しめるようになっていたり、汽車に搭載している砲弾で障害物や敵を攻撃したりもできるので、充分楽しむことができた。特に岩などを壊すとハートやルピーが出てくることもあったので、汽車の旅の間は何かにつけて砲台を撃ちまくっていた覚えがある。 汽車の運転が簡単すぎるという声は当時確かにあったのだが、本格的な汽車運転シミュレーターを求めていたわけではないことや、敵からの攻撃など他にやらなければならないことを考えると、これくらいでちょうどよかったように思う。 筆者のアクションのキャパシティは小さな子供と大差ないので、そういう意味では小さい子供でも遊びやすいようにできていたのだろう。「最近のシリーズはオープンワールドだったりで、小さい子には遊ばせにくくなったなぁ」と感じるような小さなお子さんを持つ方々にとっては、ぜひファースト「ゼルダ」としてこの「大地の汽笛」を遊ばせてみても良いかもしれないと感じる。 ちなみにタイトルにあるからには、もちろん汽笛も操作できるようになっていた。汽笛を鳴らすと汽車の旅の情緒を感じられるので、何度も鳴らして旅を楽しんでいたものだ。 ■ 「ゼルダ」と言えば謎解き 「大地の汽笛」で特徴的だったのは、ゼルダ姫の魂を連れて旅をしていることもあって、ゼルダ姫と協力しながら謎を解く場面だ。 基本的に「ゼルダ」シリーズはリンクがひとりで謎を解いていくタイトルが多いため、ゼルダ姫との共同作業というのはなかなか新鮮味があった。特にゼルダ姫が霊体だからこそ神の塔の守護者であるファントムに憑依でき、憑依したファントム(ゼルダファントム)を使っての謎解きも色々と用意されており、謎解きは「さすが!」と唸るほど、おもしろくできていた。 ブーメランや、バクダン、弓矢といったお馴染みのアイテムを駆使しながら謎を解いていく場所もあれば、大地の笛、疾風のプロペラといった、マイクに息を吹きかけることで動くアイテムもあり、DSならではの仕掛けが施されていた(とはいえ、息を吹きかける系のものは電車の中などでプレイしている時にちょっと恥ずかしかったのだが……)。 特に筆者は3Dゼルダではブーメランの操作が苦手なほうなのだが、本作ではタッチパネルにブーメランの軌道を書き込んでから投げるだけだったので、とても操作がしやすかった。さらに弓矢の操作もタッチペンで簡単にできたり、回転攻撃はダブルタッチをカカっと入れるだけでよかったりと、全体的に「夢幻の砂時計」よりも操作性がグンとアップしており、その分謎やバトルに集中できたというのは非常に良かった点だ。 松明の火をブーメランで移したり、目玉スイッチを弓矢で起動したり、といった定番の謎解きから、ワープファントムなどの各種ファントムの特性を使いこなして進まなければいけない謎解きも多々あったが、このファントムを使う謎解きが追加されたことによって全体的な謎解きの難易度は上がり、子供から大人までが満足できるものになったように思う。 毎回「ゼルダ」チームは「今回こそ、これより面白い謎解きをもう作れないでしょ」と思わせてくるのだが、次作であっさりとそれを上回ってくるのだ。もう最悪「ゼルダ」は、謎解きがおもしろければそれで良いよ!(横暴) ■ ゼルダ姫が可愛い 今作はゼルダ姫(の魂)が大変多くの活躍をしてくれる。しかも、このゼルダが喋らないリンクに代わってなのか、非常に表情豊かなキャラクターとなっており、これが最高に可愛いのである。ゼルダ姫推しなのに「大地の汽笛」をやっていないのは絶対にもったいない、というくらいだ。それに本作はゲームの開始から終わりまで、ずっとゼルダ姫と共に過ごせるのだから。 とはいえ、麗しく可憐なゼルダ姫を想像しているとだいぶ裏切られることにはなるほどギャグチックな演出が多いのだが、それが可愛い。同性の筆者からみても本当に可愛かったのだから、男性の視点ならもっと可愛いかもしれない。 ネズミや虫が苦手という設定とかも、微笑ましく見ていられた。ファントムに憑依してもネズミに怯えて震えている様は、外見がどんなにゴツいファントムであろうとやはり可愛かったのである。 ただ立ち位置としては、ヒロインよりも「相棒」という言葉が正しくはあった。実際リンクとゼルダはずっと共に過ごすのに、ふたりの間にあったのが恋人同士というよりも友達同士という空気感だったのだけは、少々もったないところだ。 メインストーリーだけならば15時間程度でプレイし終わる、非常にライトな「ゼルダ」シリーズでもあるので、気軽にプレイしやすいのも嬉しいところだった(やり込み要素は多かったが)。 もしもまだプレイしたことがない人がいたら、気軽に遊べる一作となっているので、ぜひプレイしてみてほしい。 (C) 2009 Nintendo
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