阪神D3位・木下里都、社会人1年目に恩師に伝えた夢「プロ一本で、そこだけを目指してやっています」
【なにわ虎男子】阪神の新入団選手にスポットをあてた連載「なにわ虎男子」はドラフト3位・木下里都投手(23)=KMGホールディングス=が登場。第3回は、福岡大を卒業し、プロになる目標が明確になった社会人時代を振り返る。 【写真】小学生時代の木下里都 福岡大での奮闘を経て地元のKMGホールディングスに進んだ木下。1年目を終えたころの年末に福岡大の堀監督のもとを訪れ、こう宣言していた。 「今はプロ一本で、そこだけを目指してやっています」 大学4年の〝覚醒〟から1年が経ち、決心はさらに深まっていた。1年目から主戦のひとりとして先発のマウンドに上がり、日本選手権九州地区予選の代表決定戦では、沖縄電力を相手に1失点完投。チームを9大会ぶりの日本選手権出場に導いた。そんな経験も相まって、憧れのプロの舞台に立ちたい思いが強くなった。堀監督は「勝負したいんだろうな、と気持ちが伝わってきました」と振り返る。 南海などで活躍し、通算92勝右腕のKMGホールディングス・加藤伸一監督(59)から指導を受け、課題だった制球力に改善の兆しが見えた。持ち味の球速もさらに上昇。福岡大時代にすでに150キロを記録していたが、今年の都市対抗・日本製紙石巻戦で156キロをマークした。本格的な投手転向から6年で秘めていた才能が完全に開花し、一気に今秋のドラフト指名を勝ち取った。 投手としての経験はまだまだ浅く、加藤監督はドラフト指名時の会見で「いろいろ最悪のことも考えながら、心配していたのでほっとしている」と笑顔を見せた。2年間ですっかりチームの信頼を勝ち得た木下について「来年また一緒に戦えない寂しさもあります」とも話した。 生まれ育った福岡を初めて離れ、阪神のユニホームに袖を通して始まるプロ生活。母の美佳さんは「これまでもずっと里都のいるチームを好きになったので、阪神のファンになって応援したい」とエールを送った。エリート街道を歩んできたわけではないが、チャンスをつかんで切り開いたプロへの道。この先の将来も、磨いてきた剛球でつかみ取っていく。(邨田直人) ■木下 里都(きのした・りと) 2001(平成13)年1月27日生まれ、23歳。福岡県出身。小田部小1年から原北ウイングス少年野球クラブで野球を始める。原北中では白龍ベースボールクラブに所属。福岡舞鶴高では主に遊撃手。福岡大1年夏から投手へ転向し、卒業後はKMGホールディングスでプレー。25年ドラフト3位で阪神入団。最速156キロ。変化球はカットボール、ツーシーム、カーブ。契約金6000万円、年俸1000万円。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。背番号「54」。