バスケ女子日本代表が圧勝したニュージーランド戦で得た自信とオリンピックで勝負を分ける課題
オフェンスは合格点もディフェンス面で課題。より精度を高めていく必要
女子日本代表国際強化試合「三井不動産カップ2024 (東京大会)」の1日目がニュージーランド代表を迎え、7月4日に有明アリーナで開催された。女子日本代表はすでに12人の内定ロスターを発表しており、FIBAランク26位、オリンピック出場を逃しているニュージーランド相手に、プレーの連携などさまざまなテストをしつつ、より完成度を高めていきたい一戦。 ニュージーランド代表は2026年の女子ワールドカップ出場に向け、2025年FIBAアジアカップでベスト4入りを果たすことを当面の目標としており、今回の強化試合には期待の若手選手を加えた布陣で臨んでいる。中でも193cmのローレン・ウィッティカーは今年2月のオリンピック最終予選(OQT)で代表デビューした18歳の期待の新星。八村塁の母校でもあるNCAAゴンザガ大に所属(昨シーズンはレッドシャツとして試合出場はない)している。 日本は6月のオーストラリアとの強化試合での課題にディフェンス面での連携を挙げており、平均身長181.7cmt(日本は173.6cm)と高さのあるニュージーランド相手に、その修正点を試すねらいがあった。そうした気持ちも表れ、試合開始からオールコートで激しいプレッシャーをかけるディフェンスを展開する。攻めては#23山本麻衣、#27林咲希が3Pシュートを沈めるなど流れをつかむと、その後もアグレッシブなディフェンスでボールを奪い、得意の3Pシュートにつなげていく。さらに隙を突くように#8髙田真希、#3馬瓜ステファニー、#30馬瓜エブリンらがインサイドへのアタックで効果的に加点していく。対するニュージーランドもウィッティカーがインサイドで力強さを見せるが、流れをつかんだ日本がぐいぐいと点差を開いていく。1Qで39-15と大差を奪った日本は、その後も手を緩めることなく125-57の大差で勝利を収めた。 この試合、3Pシュートを決めたのは10選手。計25本の成功(55本の試投で成功率45.5%)を記録し、中でも#23山本は6/10本(60.0%)の高確率で3Pシュートを決め、チーム最多の20得点をあげた。 「OQTから2番ポジションで起用されるようになり、自分が得点に絡んでいくことを意識していますし、そうすることでチームの流れが良くなると思っています。自分が得点を取っていくことに対して、覚悟と責任を持ってやっていきたいと思っています」と山本は代表のスコアラーとしての自覚を語る。 課題のディフェンスについて、恩塚亨HCは「プレッシャーをかけて相手を困らせたり、ミスを誘ったりといった部分ではできた部分もありますが、瞬間、瞬間でやりきれていない部分があり、そうした部分がオリンピックで勝負を分けるポイントになると思っています」と、オリンピックに向けてさらにディフェンスの精度を高めていく必要性を強調した。 また、2年ぶりの代表復帰となった#52宮澤夕貴はこの日ベンチから14分弱の出場で10得点。試合前には恩塚HCのバスケットボールの難しさも語っていたが「だいぶフィットしてきたと思っています。恩塚さんのバスケットのなかで、自分の強みをもっと出していければ」と語り、強みの一つでもある3Pシュートについても「自分の判断でもそですし、チームとしても打つべきタイミングでしっかりと打ち切れたと思います。ただ、もう少し確率良く決めたかったですけど」と試合を振り返った。女子日本代表は「走り勝つシューター軍団」として、サイズは小さいながら、世界一のシュート力と機動力を、40分間発揮し続けて勝利をもぎ取るスタイル。そのためにベンチメンバーを含め、12人の総力戦で挑むことを求めている。#23山本、この試合5本の3Pシュートを決めた#75東藤なな子といった若手選手の台頭とともに、オリンピック3大会連続出場となる頼れるベテランの存在が、また一つチームの層を厚くしていくことになるのは間違いない。
飯田康二 / 月刊バスケットボール